ニューカッスルのオーナーを務めていたアシュリー氏(2014年撮影) [写真]=Getty Images 財政難に苦しむシェフィールド・ウェンズデイ(イングランド2部)の買収に、かつてニューカッスルのオーナーを務めていたマイク・アシュリー氏が動いているようだ。1日、イギリス紙『ガーディアン』が報じた。
1867年9月に創設され、現存するフットボールクラブとしては世界で最も古いクラブの一つに数えられる老舗であるシェフィールド・W。20世紀初頭に4回トップリーグを制し、FAカップを3回、リーグカップも1回制したことがある。
2015年からタイ人の実業家デジポン・チャンシリ氏がシェフィールド・Wのオーナーを務めていたが、近年は選手・スタッフへの給与支払いが何度も遅延するなど財政危機が深刻化。サポーターのボイコット活動でスタジアム収入がさらに冷え込み、チャンシリ氏は先月24日にクラブを管財人の管理下に置くことを決めた。
これによりEFL(イングリッシュ・フットボールリーグ)の規定に基づき、勝ち点「12」のはく奪処分を受け、チームは2部で勝ち点「−5」の最下位に沈んでいる。
すでに複数の投資家がシェフィールド・Wの買収に関心を示すなか、その一人であるアシュリー氏がおよそ1000万ポンド(約20億円)の入札を準備しているようだ。管財人は5000万ポンド(約100億円)の資金証明を要求しているが、最終的な価格は公開オークションにより決まるという。
競争により最終的な価格は釣り上がる可能性がある。ナッシュビル・プレデターズ(NHL)とコロラド・ロッキーズ(MLB)の少数株式を保有しているアメリカの億万長者ジョン・マケヴォイ氏もシェフィールド・Wの買収に関心を示しており、少なくとも1つのイギリス人グループと他の1つのアメリカ人グループからも関心があるようだ。早ければ11月末には新たなオーナーが決まる可能性があるという。
現在61歳のアシュリー氏はスポーツショップの小売業で財を成し、2007年夏にニューカッスルを買収した。就任時にクラブが抱えていた多額の負債を返済し、クラブの赤字体質を改善する経営手腕を発揮したが、ピッチ上での成功からはほど遠く、サポーターから“嫌われ者”のレッテルを貼られた。自身のビジネスに主眼を置いてチームや施設に十分な投資を行わず、一貫性のない監督人事でチームに混乱をもたらし、オーナー在任期間中は2度の2部降格を経験。アシュリー氏は何度もクラブ売却を模索していたが、好条件のオファーが現れるたび、条件を釣り上げて破談に導いてきた。2021年10月にようやくサウジアラビアの政府系投資ファンドへの3億500万ポンド(約610億円)での売却が成立すると、『セント・ジェームズ・パーク』は歓喜の声に包まれた。