
2025年10月28日、ハリケーン「メリッサ」がジャマイカに上陸し、壊滅的な被害を与えました。今回、その史上最強クラスともいわれるハリケーン中心部の映像が、米空軍予備役の第53気象偵察飛行隊・通称「ハリケーン・ハンターズ」によってSNSでシェアされると、400万回以上の閲覧を記録するなど大きな反響を呼びました。
地上に甚大な被害を引き起こすハリケーンは、通常は衛星や地上センサーからのデータ収集でその全容を捉えることができます。しかし、米国海洋大気庁(NOAA)は「渦巻く嵐の中心に接近することが、間近で観察するベストな方法だ」と述べています。
2025年10月27日、米空軍予備軍の通称ハリケーン・ハンターズとして知られる第53気象偵察飛行隊(NOAA職員)は、「カーミット」の愛称を持つロッキード・エンジニアリング社製WP-3Dオリオンに搭乗し、猛烈な勢力でカリブ海諸島を襲ったメリッサに向かっていました。
ハリケーンの中心を航行することは日常業務ではなく、任務には予測不能性とリスクが伴います。ハリケーン・ハンターズは、眼壁(嵐の目を囲む積乱雲の壁)を突破した際に激しい乱気流に襲われました。
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インスタグラムアカウント「NOAA Aircraft Ops Center」では、機内の機器が激しく揺れている様子がシェアされています。
ハリケーン・ハンターズたちは、通常より強い力を経験したため、安全点検を実施する必要が生じ、任務継続前にキュラソー島の作戦拠点へ帰還せざるを得ませんでした。
10月28日と29日に、再びメリッサに突入を試みたハリケーン・ハンターズ。いったん引き返すことを余儀なくされたものの、1日を通して複数回にわたり嵐の目に突入。飛行の大部分がハリケーン内部または極限環境下で行われ、ミッション時間はなんと8〜10時間にも及びました。
それほどまで大変な任務に挑む理由は、間近の測定によりハリケーンの予測を正確に認識できるから。また、ハリケーンで脅威にさらされている地上の人々への備えに貢献できるからです。
いったん機体が外側の帯状域を突破してハリケーンの目に進入すると、激しい乱気流が突然静まり返り、嵐の内部構造が明らかに。機内に搭載されたハイテクレーダーシステムで、内部構造、地上風速、気圧、降雨量がMRI画像のように可視化され、そのデータは気象センターにリアルタイムで送信されます。
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最強ランクのカテゴリー5の勢力で、カリブ海諸島に壊滅的な被害をもたらしたメリッサ。米国立ハリケーンセンター(NHC)によると、メリッサの目はカテゴリー5の状態で、10マイル(約16キロ)の明確な目を1日以上維持したということです。
最強ハリケーンに突入した乗組員たちには、SNSユーザーから「職員の勇気を称賛する」「地上の人たちを守るために危険な任務を遂行してくれてありがとう」「いつもあなたたちの映像には恐れ入るよ」「NOAA職員は素晴らしい。自分ならそんなに揺れたら酔ってしまうよ」「その勇気と任務に脱帽です」といったコメントが相次いでいます。
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