「プランCでいけば十分勝負できる」ノリスとは異なる戦略で巻き返しを狙うピアストリ【F1第21戦無線レビュー(1)】

1

2025年11月14日 12:30  AUTOSPORT web

  • 限定公開( 1 )

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2025年F1第21戦サンパウロGP オスカー・ピアストリ(マクラーレン)
 2025年F1第21戦サンパウロGP。スタート直後の混乱によりセーフティカーが出動し、レースは6周目から仕切り直しとなった。ターン1には3台が並んで進入し、その結果2番手に浮上したオスカー・ピアストリ(マクラーレン)だったが、10秒ペナルティという大きな痛手を被ることになった。サンパウロGP前半を無線とともに振り返る。

────────────────────

 前日の予選でまさかのQ1落ちを喫したマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、パワーユニット(PU)のエレメント交換、セットアップの変更により、ピットレーンからのスタートを選択した。

フェルスタッペン:一応情報だけど、こちらのエンジンの方が振動は少ないね。

 ポールシッターのランド・ノリス(マクラーレン)がホールショットを決めるなか、後方では何台かの接触事故が起きていた。

1周目ヨルン・ベッカー:ガビ、大丈夫か。ガブリエル・ボルトレート:ストロールに押し出された。ベッカー:ダメージは? フロントウィングがなくなっているようだね。ボルトレート:僕がいないみたいに、かぶせてきたんだ。

カルロス・サインツ:右前にダメージだ。ガエタン・イエゴ:了解。

ルイス・ハミルトン:パンクチャーだ。ダメージを受けた。リカルド・アダミ:わかった。

 一方オリバー・ベアマン(ハース)は、ピエール・ガスリー(アルピーヌ)をかわして8番手に上がった。

ロナン・オヘア(→ベアマン):ナイスジョブだ。必要ならブレーキバランスを見直そう。

フェルスタッペン:これは確実にセーフティカーだね。

 ボルトレートのクラッシュで、セーフティカー(SC)が導入された。

ピエール・アムラン:ステイアウトする。アイザック・ハジャー:どうしてピットインしないんだ?アムラン:ターン10と14のストレート上に破片が落ちている。アジャ:わかっている。で、どうなの?アムラン:順位を大幅に落としてもいいのか? 今は、いい位置につけている。アジャ:訊いただけだよ。そんなに突っかかるなって。アムラン:わかった。すまない。タイヤについては、我々に任せてくれ。

 ハミルトンはSC中に緊急ピットイン。しかし車体のダメージを直し切れなかった。

5周目ハミルトン:フロアは大丈夫?アダミ:ダメージを受けたままだ。ハミルトン:リヤのダウンフォースが全然ない。

 レース再開直後のターン1では、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)、アンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)、シャルル・ルクレール(フェラーリ)が3ワイドで進入し、イン側のピアストリがブレーキをロックさせ、真ん中のアントネッリに接触し、その反動でアウト側のルクレールにぶつかって行った。

6周目ルクレール:左フロントサスが壊れた。もう止まる。ブライアン・ボッツィ:マシンを止めろ。

ピアストリ:スペースを残してくれなかった。スタラード:了解。今のところマシンは大丈夫そうだ。ピアストリ:完全に白線の上を走らされたよ。(アントネッリも)ルクレールに挟まれていたのかもしれないけど。とにかく僕は、まったく行き場がなかった。スタラード:同感だ。リプレイ映像は、まさにそんな感じだったよ。

アントネッリ:クルマは大丈夫?ボニントン:OKだ。もし変な感触があれば知らせてくれ。アントネッリ:(2台が)鞭で打つみたいにぶつかってきたんだ。ボニントン:わかった。映像を見直している。

 最終的にピアストリに非があるとして、10秒ペナルティが下った。

 2台を抜いていたフェルスタッペンが、8周目にピットイン。ハードタイヤからミディアムタイヤに交換した。

ジャンピエロ・ランビアーゼ(→フェルスタッペン):右前にパンクがあったと思ったから、ピットに入れたんだ。

 9周目にレース再開。6番手のジョージ・ラッセル(メルセデス)は、直後の1、2コーナーでリアム・ローソン(レーシングブルズ)を抜いて行った。

ラッセル:次のクルマは?マーカス・ダドリー:1秒5前だ。

 12周目にはハジャーもかわし、4番手に上がった。

ダドリー(→ラッセルに):ナイスワークだ。プランBで行くぞ。

 この時点ではタイヤのタレも大きくなく、1回ストップ戦略で行くつもりだったようだ。

 後方ではペースの上がらないハミルトンを、フェルスタッペンが難なく抜き、14番手に上がっていた。

ランビアーゼ(→フェルスタッペンに):ミディアムのコラピントのペースは(1分)15秒4。先頭集団は(1分)14秒3で走っている。

 いうまでもなくフェルスタッペン陣営は、上位入賞しか考えていない。

14周目ハミルトン:このままだとクラッシュする。精一杯やっているけど、クルマはめちゃくちゃ不安定だ。アダミ:ダメージは高速域で、より大きい影響がある。

 ハミルトンは直後にピットイン。そのままリタイアかと思われたが、タイヤを交換してレースに復帰した。

 17周目、ソフトスタートのベアマンが早めのタイヤ交換に向かった。

オヘア(→ベアマン):ピットインで、ハジャーを抜くぞ。

 ハジャーも18周目にピットインしたが、ベアマンが先行。アンダーカットに成功した。

ハジャー:どうして僕たちが後ろにならなきゃいけないんだ!?

 首位を独走するノリス。スタートタイヤのミディアムは、まだ大丈夫そうだ。

20周目ウィル・ジョゼフ(→ノリス):こちらの意見としてはプランBかな。プランDでもいいかもしれない。

21周目スタラード(→ピアストリ):10秒ペナルティを受けた。でもペースはいいから、プランCで行けば十分勝負できる。

 この時点でマクラーレンはワン・ツー体制だったが、ピアストリは10秒ペナルティを消化しなければならない。担当エンジニアにどう返事したのか、ノリス、ピアストリともに公表されなかったが、1回ストップを視野に入れつつ、タイヤの状態に応じて臨機応変に対応していくようだった。

────────────────────

F1第21戦無線レビュー(2)に続く

[オートスポーツweb 2025年11月14日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定