「あとは君に任せる」勝負を託された新人アントネッリが0.3秒差で2番手を守り抜く【F1第21戦無線レビュー(2)】

0

2025年11月14日 19:50  AUTOSPORT web

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

AUTOSPORT web

2025年F1第21戦サンパウロGP 2番手を争うアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)とマックス・フェルスタッペン(レッドブル)
 2025年F1第21戦サンパウロGP。ピットレーンからスタートしたマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、他車がピットストップを行う間にトップに浮上した。その後3回目のタイヤ交換を行ったためフェルスタッペンは後退したが、終盤は2番手を走るアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)を追い抜こうかという走りを見せた。サンパウロGP後半を無線とともに振り返る。

────────────────────

 21周目、ピットスタートのマックス・フェルスタッペン(レッドブル)は、アレクサンダー・アルボン(ウイリアムズ)を難なく抜いて5番手に。ジョージ・ラッセル(メルセデス)追撃体制に入った。

ジャンピエロ・ランビアーゼ:次はラッセルだ。フェルスタッペン:何秒?ランビアーゼ:8秒9前方だ。最後のラップは(1分)15秒2だった。

 フェルスタッペンは1分14秒台後半のペースで、ラッセルとの差をみるみる詰めて行った。しかしラッセルは巧みなタイヤマネージメントで、3秒前後のギャップをキープし続けた。

24周目ダドリー:ターン6と7で、ロスが大きい。ラッセル:その次のコーナーを考えて、マネージしているんだ。

 スタート直後の接触事故で車体にダメージを負ったルイス・ハミルトン(フェラーリ)は、フランコ・コラピント(アルピーヌ)との接触の原因があるとして5秒ペナルティを科されてしまう。

30周目アダミ:接触事故で5秒ペナルティだ。プッシュを続けよう。まだ14番手だ。ハミルトン:(クルマが)どこに行くかわからない。

 10番手のピエール・ガスリー(アルピーヌ)は、1コーナーのブレーキングでいったんはアイザック・ハジャー(レーシングブルズ)をかわすが、3コーナー立ち上がりからの直線で簡単に抜き返されていった。

ガスリー:全然パワーがない。カレル・ルース:プレッシャーをかけ続けよう。

 首位を独走していたランド・ノリス(マクラーレン)が30周目にピットインし、オスカー・ピアストリ(マクラーレン)が暫定首位に立った。

34周目トム・スタラード:タイヤはどうだ? ハードにしようかと思うけど。アストンマーティンはいい感じで走っている。ピアストリ:どうかなあ。ミディアムはいいけどね。

 ハードタイヤでスタートしたアストンマーティンのフェルナンド・アロンソ、ランス・ストロールは、比較的いいペースで周回を重ねていた。第2スティントのタイヤを何にするか、ピアストリ陣営は迷っていたようだ。

37周目アダミ(→ハミルトン):ピットインしてリタイアだ。

 これでフェラーリ勢は姿を消した。

 37周目にピットインしたアジャは、最後尾17番手でコース復帰。前方の角田裕毅(レッドブル)を抜きにかかるが、抜き去るまでにかなり手こずった。

ピエール・アムラン:後ろからガスリーが来る。アジャ:わかってるよ。ありがとね、ユウキ。

 ピアストリは38周目にピットイン。ソフトを選択し、7番手でコース復帰。すぐにリアム・ローソン(レーシングブルズ)を抜いて6番手に上がった。

ピアストリ:ペースはどう?スタラード:アンダーカットしてベアマンとラッセルを捕まえたい。フェルスタッペンが助けになるはずだ。

 この時点でピアストリの5秒前にフェルスタッペン。オリバー・ベアマン(ハース)とラッセルを激しく追っていた。

46周目ピアストリ:この戦略で楽観的にいけるといいんだけど。スタラード:ソフトのデグラデーションが大きいから、この戦略が最良だ。

 ベアマンのピットインで5番手に上がったピアストリは、ソフトで最後まで走り切る1ストップ戦略で、何とか表彰台まで行きたい。しかしチームは、ソフトはこれ以上持たないと判断し、ピアストリは最終的に5位でチェッカーを受けた。

 一方ローソンは1ストップ作戦にチャレンジしようとしていた。

エルネスト・デジデリオ:プランBで行くぞ。ローソン:それしかないだろうね。

 チームメイトのハジャーは2ストップ戦略。ユーズドのミディアムタイヤに文句たらたらのアジャを、担当エンジニアがなだめ続けた。

48周目アジャ:なんてこった。アムラン:アイザック、冷静に行こう。もっといいタイヤがあるから。アジャ:叫ばないでよ。

 50周目にノリスが2回目のピットに向かい、フェルスタッペンが暫定トップに立った。

ランビアーゼ:ピットレーンからスタートした時は、そんなこと思いもしなかったけど、君は今レースリーダーだ。フェルスタッペン:悪くないね。

 しかし54周目、このまま走り切るかと思われたフェルスタッペンが3回目のピットイン。ソフトのニュータイヤに履き替え、4番手でコースに復帰した。

ランビアーゼ:残りは17周だ。ものすごく脆いタイヤだ。ベストを尽くしてくれ。フェルスタッペン:失うものは何もないからね。

 55周目、6番手のピアストリがローソンをかわした。

スタラード(→ピアストリ):前はフェルスタッペンだ。ソフトを履いている。残り16周。長いスティントになる。

デジデリオ:後ろからベアマンが迫っている。僕らより速い。タイムロスに気をつけるんだ。ローソン:青旗だらけだよ。

56周目ピーター・ボニントン(→アントネッリ):状況が変わった。このまま最後まで走り切るから、ベストスティントで行くんだ。

 3番手スタートのアンドレア・キミ・アントネッリ(メルセデス)は、フェルスタッペンのピットインにより、ついに2番手に上がった。ソフトのニュータイヤで猛追してくるフェルスタッペンを、ユーズドのミディアムで防ぎ切る作戦だ。

 チームメイトに比べ、ラッセルはペースが伸びない。

ラッセル:ブレーキがプアだ。ダドリー:限界にきている。ラッセル:先に言ってよ。

 57周目、ベアマンがローソンを抜いて6番手に上がった。

ロナン・オヘア(→ベアマン):ナイスジョブだ、オリー。このまま最後まで、クリーンエアで行けるぞ。

60周目ランビアーゼ(→フェルスタッペン):2番手も不可能じゃない。デグラデーションに気をつけろ。

 チェッカーまで残り12周の時点で、2番手アントネッリとは4秒差。この時点では、フェルスタッペンの方がコンマ6〜7秒速い。

61周目ボニントン:ベストスティントで最後まで行くんだ。アントネッリ:やってるよ!

 63周目、フェルスタッペンは1コーナーで、3番手のラッセルを抜いた。

ランビアーゼ:グッジョブだ。アウトサイドからインサイドだったね。アントネッリのペースは(1分)13秒9だ。

66周目ボニントン(→アントネッリ):キミ、ここまで来たら、あとはもう君に任せるよ。

 ここからアントネッリも必死にペースを上げるが、67周目にはついにコンマ7秒まで迫った。

71周目ランビアーゼ:0.8秒。最終周だ。

ローソン:(ハジャーが)抜きに来てる。デジデリオ:自由にレースをしていい。とにかく走り切って、あとで話し合おう。

 1ストップのローソンは、タイヤがほぼ限界だった。それでも何とかハジャーに抜かれず、7位でチェッカーを受けた。ハジャーとの差は0.2秒だった。

 ノリスが堂々のポール・トゥ・ウインで今季7勝目を挙げた。しかしレース内容には、必ずしも満足してないようだった。

ウィル・ジョゼフ:ナイスジョブ。週末を通して、ずっと素晴らしかった。ノリス:いいレースだった。ただ思ったほどギャップは大きくなかった。そこは見直さないとね。

ランビアーゼ:昨日はすまなかった。本当に申し訳ない。フェルスタッペン:少なくとも、色々トライしたじゃないか。今日は最高のレースだった。本当にありがとう。

 予選Q1落ちした土曜日の時点では、フェルスタッペンのドライバーズ選手権5連覇はほぼ絶望視されていた。しかしピットスタートから3位表彰台をもぎ取り、終盤3戦に望みを繋いだ。

[オートスポーツweb 2025年11月14日]

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定