奈良地裁=奈良市 奈良市で2022年、安倍晋三元首相を手製銃で殺害したとして、殺人などの罪に問われた山上徹也被告(45)の裁判員裁判の第9回公判が19日、奈良地裁(田中伸一裁判長)で開かれ、前回に続き、被告の妹の証人尋問が行われた。母親が世界平和統一家庭連合(旧統一教会)を信仰していた幼少期の家庭環境を証言し、「私たちは統一教会に家庭を破壊された」と訴えた。
妹は中学生の頃の母親とのやりとりを証言し、「『どうして愛してくれないの』と聞いたら鼻で笑われた。つらかった」と涙声で語った。また、「結婚するまでは処女を守りなさい」と教団のキャンディーを渡されたといい、「拒んだら怒られた」と話した。
被告が事件を起こしたことについて問われると「相談先を探したが、親が入信して子どもが困っている人に向けたものはなかった。合法的な方法ではどうしようもなかったのでは」と推し量った。被告が安倍氏を標的としたことには、教団との関係から「不思議ではなかった」と述べた。
妹と傍聴席の間には、母親同様に遮蔽(しゃへい)板が置かれた。被告はうつむきがちに時折目をつむり、頭に手を当てながら証言を聞いていた。