
日本野球機構(NPB)は11月19日のオーナー会議で、試合時間短縮策として検討を続けるピッチクロック導入の最新状況を報告した。
MLBでは大幅な時短効果を挙げているが、日本では独自のスタイルや文化との相性から短縮の効果は不透明とし、慎重な姿勢を崩していない。
NPBの中村勝彦事務局長(58)は「侍ジャパンの試合や今年の都市対抗でもピッチクロックが使われたが、試合は短縮されなかった」と説明した。ピッチクロックが導入された日韓戦では、15日が3時間14分、16日は3時間34分と、いずれも長時間となった。
背景にあるのが、日本投手のテンポの速さだ。日本投手の投球間隔は「走者なしで中央値12秒」(中村事務局長)で、MLB基準である「走者なし15秒」を採用すると、かえって時間を使い切る行動に変わり、試合が延びる恐れがある。
実際に、NPBは24年から2軍で「15秒ルール」を試行しているが、試合時間が長くなる傾向が確認されている。
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一方で、日本特有の文化的要素も大きい。打者の登場曲や演出の影響で「前打者の打席終了から次打者の初球まで30秒」という現行ルールに対し、実際には約50秒かかっているとされる。入場曲を廃止すれば試合時間は大幅に短縮できるが、ファン満足度の低下は避けられず、現実的ではない。
NPBが理想とする試合時間は2時間50分から3時間。今季の平均は3時間5分で、NPBはまず「30秒ルール」の徹底やイニング間のCM、演出の短縮など、12球団へ改善努力を求めた。オーナー会議の議長を務める、日本ハムの井川伸久オーナーは「試合時間短縮につながる施策を点検し、キビキビした試合を推進していく」とした。
ピッチクロック導入にはコスト面のハードルも高く、各球場に機材と専任オペレーターの配置が必要。費用対効果の観点からも、判断は難しい。現時点でピッチクロックが時短の決め手となるかは不透明で、日本独自の野球文化とどう折り合いをつけるかが焦点となりそうだ。【鳥谷越直子】
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