【漫画】吸血鬼に必要なモノ、「血」以外はなに? 友情が眩しい『Glorious Nightmare』

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2025年11月23日 09:00  リアルサウンド

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『Glorious Nightmare』(とどろ)

 人間界に追放されてしまった吸血鬼の王子――。彼が人間界で揺らぐ姿をリアルかつコミカルに描いた短編『Glorious Nightmare』が、Xに投稿されている。


【漫画】『Glorious Nightmare』を試し読み


 もとは新人賞に応募した作品だという本作は、どのように生まれたのか。既に次回作も完成してスタンバイ中だという作者・とどろ(@binakabinaka)に話を聞いた。(小池直也)


――本作をXに投稿した経緯を教えてください。


とどろ:元は1年前に某新人漫画賞に応募した作品でしたが、挑戦した記録として残しておきたい気持ちがありました。自分のなかで着実に成長している実感があったので、その過程を読者の方にも見てもらえたらと思い、投稿を決めました。


 SNSで直接反応をいただけることは創作の励みにもなりますし、自信作なので「より多くの方に触れてもらい、刺さる人に届いてほしい」という思いが強かったです。


――物語の着想は?


とどろ:「紳士的で凶悪さも宿すクールな吸血鬼」という題材は、子どもの頃から心を掴まれてきた存在で、いつか描いてみたいという憧れがずっとありました。そこにギャップのある主人公像を掛け合わせたいと。力を奪われた元吸血鬼が人間界でどんな表情や弱さ、人間味を見せるのかと考えた作品です。


――テンポ感のよさ、シリアスとコミカルのバランス感などが印象に残りました。展開について意識したことやこだわったことはありましたか。


とどろ:ページをめくりたくなる展開作りを重点的に、担当編集さんと一緒に考えました。吸血鬼のクールでかっこいい部分と、価値観のズレから生まれるちょっとした可愛さ。そのギャップが自然に伝わるように、男子高校生の何気ない日常を重ねて、テンポと情緒のバランスを大事にしています。


――どこか劇画調でゴシックな世界観を感じさせる自身の絵柄は、どのように考えて描いていらっしゃいますか。


とどろ:好きな漫画家さんやイラストレーターさん、画家さんの影響が大きいと思います。「尊敬する巨匠の良いところを学び、融合させたい」という気持ちで描いています。


 またアナログタッチな絵が好きなので、筆で描いたような荒々しさや鉛筆画のような繊細さを残し、読者の目を引く絵になるようにも心がけています。白黒漫画だからこそ、線の存在感で世界観を作れたらと。


――制作における苦労した点を挙げるとしたら、どんなところでしょう?


とどろ:白黒で魅せる画面構成には常に苦戦しています。情報量を整理しすぎると物足りなくなり、盛り込みすぎると見づらくなる。その中間を探るのが本当に難しい。


 今作では特に「見やすさ」を意識しましたが、その分自分の中で「もっと攻めてもよかったかも」という感覚も残っています。課題と成長点の両方を感じた作品です。


――後半の吸血鬼の本性を見せるコマがドラマティックでしたが、ご自身が一番気に入っている場面を教えてください。


とどろ:私も吸血鬼覚醒シーンが好きです。ですが、それと同じくらい最後の再会シーンも大切ですね。成長した吸血鬼の王子が、初めて“友達”と呼べる存在と再会する瞬間の表情をどう描くか、ネームの段階で何度も苦戦しました。


 表情がカチッと決まった時に「このキャラはこう生きるんだ」と実感し、キャラが確立したという手応えを感じたのを覚えています。


――漫画に挑戦してから2年ほどだと伺いましたが、ご自身の成長や手応えはありますでしょうか。目標やゴールなどはありますか。


とどろ:すごくあります。人生初めてのネームは恥ずかしくて見られないほどですが、だからこそ確実に成長していると感じられます。担当編集さんにも本当に支えられ、多くの気づきや学びを得ました。


 私自身が漫画作品に救われてきたように、いつか誰かの人生の支えになる作品を描きたい。それが大きな目標のひとつです。具体的には過去にいただいた賞を超える成果を出すこと、最終的なゴールは諦めずに描き続けることです。


――次回作はどんな漫画になりそうでしょうか。


とどろ:次回作は既に完成しています。その作品も自分らしい“カッコよさ”を詰め込んだものなので、読んでくださると嬉しいです。これからも色々なカッコよさを、たくさんの方に届けられるように頑張ります。


(文・取材=小池直也)



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