「手取りは16万円。生活が苦しくて…」下着を売る27歳女性の悲しき事情…「夫との離婚資金を貯めたい」38歳女性も

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2025年11月23日 16:20  日刊SPA!

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「夫と離婚するための資金100万円を貯めたい」(Cさん)
 X(旧Twitter)で「下着売ります」と検索すれば、無数の投稿が並び、さながら“令和のパンツバブル”の様相が広がっていた。なぜ、彼女たちはそこに踏み出したのか――切実な人間模様を覗いた!
◆一枚2000円台で販売…アラフォー主婦層も多数!

 1990年代初頭に隆盛したブルセラブーム。その再来が今、叫ばれている。だが、主戦場は繁華街の雑居ビルではない。

 ネット上に乱立する専門サイトやSNSのタイムラインが、令和の“見えない店頭”になっていた。

「手取りは16万円しかないのに、物価は上がる一方。生活が苦しくて、収入を増やせないかと検索している時に、Xで下着を売っている人を見たんです。これなら私にもできるかもと思い、手探りで始めました」

 東海地方在住の歯科衛生士のAさん(27歳)は言う。始めてまだ2週間、売れ筋を模索中だが、一日に1万円売れることもあるとか。

 一方、こんなトラブルも経験した。

「画像を求められて断ったら、『個人情報を晒す』と脅されたことがありました。屋外で撮った写真に写り込んだ背景から住所を特定できると言うんです。まさかと思いましたが、一瞬怖くなりました」

◆今夏は酷暑だったので下着が売れまくった

 もう一人、取材に応じてくれたのは不動産会社で事務員として働くBさん(36歳)。

「下着を処分する時に、捨てるのはもったいないし、売れるんじゃないかと思い始めました。生活がカツカツで給料も上がらないので……。平均すると一枚2000円くらいで、月1万円くらいかな。“買う買う詐欺”が多く、DMでのやり取り含めて時給換算すると500円切るかも。儲からないですね」

 Xにはこうした素人出品者が増える一方で、専用サイトも活況を呈している。

 現在、およそ10以上のサイトが乱立し、女性のタイプ・年代別のほか、「脚モノ系」「体液系」などジャンル分けがされているところも。

◆「夫と離婚するための資金を貯めたい」

 販売サイトで下着を売る茨城県在住のCさん(38歳)は、夫と5歳の娘と暮らしているが、夫の浮気やモラハラを理由に離婚を考えている。

「離婚したら私のパート収入だけでは生活していけません。引っ越しや当面の生活費も準備しておきたい。そんな時に、この副業を見つけた」

 背に腹は代えられぬと、下着だけでなく、唾液や汗びっしょりのキャミソールなども販売。月に10万円以上をコンスタントに稼いでいると話す。

「今夏は酷暑だったので稼げましたね。においがキツついものが売れるから。蒸れたほうがにおいが立つので、霧吹きをかけ、ラップで股の部分を二重に包み、さらに全体をラップで密封して保存用ポリ袋に入れる……。そんなひと手間が評価されているのか固定ファンもついてきて、10月に初めて20万円を突破しました。離婚資金の目標100万円も達成できそう」

 これまでに最も高額で売れたものはパンティとブラジャーと唾液のセットで5万円だったという。

◆大病を患った夫の治療費と子供の食費に…

 一方、埼玉県に住む介護職のDさん(42歳)は、生活苦からこの道を選んだ。世帯年収は約500万円。2人の息子は小学生で、食べ盛りだ。

「一昨年、夫が大病をして仕事を休みがちになり収入が減った上、医療費も月2万円ほどかかるように。でも、物価はどんどん上がるし、子供にお米も満足に食べさせられない。スマホや光熱費の支払いも遅れるような状態で、悩んだ末に始めました」

 月収は5万〜7万円。生活費の補塡に充てている。

「動画を要求されることも増えてきました。先日、『裸で通学帽を被って、恥ずかしそうに縦笛を吹いてほしい』というオファーがあり、動画を撮ったんです。家でこっそり撮影したのですが、背徳感がありましたね(笑)」

◆2XLのパンツを履いてもらう

 ではいったい、下着を買う男たちは何者なのか。

「40歳以上の男性と思われる人が購入者で多い」(Aさん)、「年齢も20〜40代までバラバラ」(Bさん)と証言するが、Cさんは「オトナのお店やキャバクラに行くお金はないけれど、女性のぬくもりを感じたいという低所得者の男性が多い気がする」と分析する。

 当の男性にも話を聞くことができた。

「何度かやり取りをして、気に入った女性がいたら『2XLの大きなパンティを数日間はいて、それを送ってほしい』とお願いします。届いたら、自分がはくんです」

 こう話すのは福島県に住む独身のXさん(46歳)。出品者から送られた、顔出ししていない画像を見ながら、相手を想像し、においを嗅いだり生地の感触を楽しんで自慰行為に励むという。

 物を通して女性とコミュニケーションを取りたい、触れ合いたい。そんな娯楽になっているのだ。

 下着を売る女性が増えているが、購入したり、販売するのは法的に問題はないのか。弁護士の加藤博太郎氏は言う。

「購入者が18歳未満の下着を買えば、青少年健全育成条例で全国的にアウト。下着姿の画像を購入すれば児童ポルノ禁止法違反にもなり得ます。一方、成人から買うのは現状では問題ありません。売るほうは、継続して販売するなら古物商の免許が必要です。ちなみに、成人なら体液や糞尿、経血が付着していても基本的に問題はないと思います」

 令和のパンツ売りは、生活に困窮する女性と異性との触れ合いを求める男性を繋ぐ懸け橋なのかもしれない。

◆月商2000万円!? 販売サイトの内情

 雨後の筍のように使用済み下着販売サイトが誕生しているが、内情は果たしてどうなっているのか。大手サイトの元従業員はこう打ち明ける。

「月間アクティブユーザーは女性が300人、男性は1000人くらいでしたね。ウチはチャット機能もあったんですが、声を聞いてると30〜50代が多い印象ですね。最高で70代のおじいちゃんもいた。商品の送り先は局留めを指定する人が多く、公務員や社会的地位のある人が多いかもしれません。送り先がタワマンや高級住宅地で、毎月10万円以上使うヘビーユーザーも少なくない。意外と富裕層が多い印象でした」

 下着については「下痢便付き」などのハードな商品にも根強いファンがおり、また「経血付き」などリクエストを送る男性もいたとか。

「一番売れるのはオリモノ付きでしたね。また数千円プラスして、唾液や尿を容器に入れて一緒に送るケースも多かったです。売り上げは正確には不明ですが、月2000万円くらいかと。サイト側の販売手数料は10%だったので、大儲けってほどでもないですよ」

 “業界”は今後も成長し続ける。

取材・文・撮影/中山美里(オフィスキング) 山口晃平 奥窪優木

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