徳島のトニーアンデルソン(左)とルーカス・バルセロス(右)[写真]=兼子愼一郎 徳島ヴォルティスが敵地でRB大宮アルディージャを2-1で下し、4位に浮上した。第37節にして今季初の逆転勝ち。増田功作監督は「ビハインドからのスタートになりましたが、今日に関しては本当に気持ちの部分、運命は自分たちで掴み取る、勝ち取るという気合いや意気込みがありました。選手たちは球際や走るといったベースの部分をやりながら、自分たちのフットボールを落ち着いてできた」と総括した。
今季の徳島を語る上で欠かせないキーワードが“堅守”。第37節終了時点で失点はわずかに「23」。なお、失点数2位は水戸ホーリーホックの「34」となっており、J2リーグ断トツトップの数字だ。守護神・田中颯の安定感もさることながら、チーム全体の守備意識が実を結んでいる。増田監督は今季のチーム立ち上げから「守備を免除される選手はいない」と通達しており、その明確な基準は前線の外国籍選手にも例外なく適用された。
最大の得点源であるルーカス・バルセロスは大宮戦の決勝点に加え、78分まで攻守に奔走。決勝点をお膳立てしたトニー・アンデルソンに至っては、先発フル出場で勝利に貢献している。増田監督は「前線の選手たちがチームのためにハードワークした結果が、今日の勝ち点3につながった」と大宮戦勝利の要因に前線の選手を挙げた。キャプテン岩尾憲も「J2にたくさん外国籍選手はいますけど、僕が本当に心の底から思っているのは、彼らはJ2でトップオブトップだなと。プレーのクオリティ、人間性、チームに対するコミットメント……。総合的に見て、僕は彼らがトップだと思っています」と絶賛している。
中でもトニー・アンデルソンは別格の存在感を放った。徳島のベースとなるハードワークを90分間怠らず、押し込まれる展開となった後半はテクニックを生かしたボールキープで時計の針を進めた。今季序盤は負傷で出遅れた影響もあり、“パワープレーヤー”として後半途中からピッチに立つ役割が多かった中、現在5試合連続でスターティングメンバーに名を連ねている。リーグ戦最終盤でJ1昇格争いを演じる徳島の“ラストピース”になりつつある。増田監督はトニー・アンデルソンに対して、こう賛辞の言葉を送った。
「キャンプの時にケガで出遅れたのですが、テクニックとポテンシャルがある選手。すごいアイディアがあるので、見ている皆さんを魅了するようなプレーヤーです。僕も毎日一緒にトレーニングをしていますが、驚かされることもあります(笑)。今年に関してはやっぱり守備の強度からの攻撃を課してやってきました。いくらトニーがテクニックやアイディアで素晴らしいものを持っていたとしても、それを生かす運動量や守備タスクの戦術が必要。少し時間はかかってしまいましたけど、よりチームが一体となってパワーアップできています。(カターレ)富山戦で初めて先発して、2得点を決めました。ポテンシャルがある中、そういった守備からの攻撃の両方ができるようになった彼は、今J2でも屈指のFWになっていると思います」
取材・文=三島大輔(サッカーキング編集部)
【ゴール動画】トニーアンデルソン→ルーカス・バルセロスで決勝点!
明治安田J2リーグ 第37節#RB大宮アルディージャ 1-2 #徳島ヴォルティス
34分 #ルーカスバルセロス ⚽️#vortis#徳島とともに最高の瞬間を pic.twitter.com/a9Q8qDoUTB— 徳島ヴォルティス 公式 (@vortis_pr) November 23, 2025