
一見不良品にしか思えない
一見不良品のような100円玉。汚れているとか、持っていたくないといった理由で、両替や早く使ってしまいたいと思う人もいるのではないでしょうか。そんなふうにパッと見ると不良品のような現行の100円玉が、2025年11月15日に開催された第37回銀座コインオークションにおいて出品され、額面の1800倍となる驚きの18万円(手数料込みで20万9700円)で落札されました。
100円玉の裏側がめくれている

今回落札された100円玉は、裏面にあたる数字の「100」の記載部分がめくれています。実はこれは、“めくれエラー”と呼ばれる珍品です。人の手によって削られたものではありません(貨幣を損傷させることは貨幣損傷等取締法に基づき犯罪となりますので絶対にやめてください)。
このめくれエラーは、製造時に何らかの不具合によって発生したもので、そのまま市場に流出したと考えられます。
今回落札された100円玉ほど大きくめくれているものは、なかなか珍しいと言えます。通常は数mmだけめくれているといったエラーが多いからです。
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しかも、貨幣鑑定機関PCGS(Professional Coin Grading Service:世界でも評判の高いアメリカの第三者格付け鑑定会社)によって、Mint Error(貨幣を製造する過程で発生したミス)のお墨付きも得ていますし、MS62と未使用レベルの評価を得ています。
どのようなエラーかという点と、どの程度の美しさを保っているかが評価を決めることになるため、いずれの点からも高い評価となり、額面の1800倍で落札されたと考えられます。
不良品であるのは確かだが高値が付くため保管すべし
汚かったり、少しでも不良品と見えるコインは、早く使ってしまいたいとか、両替したいと思う人もいるかもしれません。しかし、今回の落札結果から分かる通り、実は珍品で高額となる場合もあります。そのため、お釣りでもらったコインで何か変だなと感じた時は、エラーコインではないかと疑ってみましょう。
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世の中には一般の人にはあまり知られていないエラーコインが多数見つかっています。偶然見つかることが多いため、あなたの手元にも転がりこんでくることがあるかもしれません。
<参考>
第37回銀座コインオークション Lot番号:699 桜100円白銅貨 昭和45年(1970) 大メクレエラー 現4 PCGS(Mint Error MS62) | EF/UNC
伊藤 亮太プロフィール
慶應義塾大学大学院商学研究科修了。一般社団法人資産運用総合研究所代表理事。ファイナンシャルプランナーとして、家計・保険等の相談、執筆、講演、大学講師を主軸に活動。大学院時代の専門は社会保障で、経済・金融に関する解説も得意。コイン収集マニアの一面も。(文:伊藤 亮太(株式・ファイナンシャルプランナーガイド))
