パナソニックの“公式社章”が「メルカリで約10万円」“高額転売”の謎、本社と弁護士に話を聞いた

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2025年11月24日 16:10  週刊女性PRIME

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週刊女性PRIME

パナソニックブランド公式Xより

 日々あらゆるものが売り買いされる日本最大のフリマサービス『メルカリ』には、“こんなものがこんな値段で!”と驚くような商品が多数取引されている。その中には一見普通に見えて、実は法に抵触する可能性を帯びたものもあるそうだ――。

弁護士が問題点を指摘

「現在、メルカリ上では密かに『パナソニックグループ』の社章バッジが高額で転売されているのです。11月20日時点で、出品件数は売り切れた商品も含めて15件にものぼっており、すでに取引が終了しサイト内から消去された商品も数十件あるようです。驚くべきはその価格で、現在確認できる最も安いもので4万円ほど。平均相場は8万円前後で、中には10万円を超える商品もあります」(ウェブメディアライター)

 同商品は切手の4分の1ほどの小さなバッジ。“そんなものを高値で買う人なんているの?”と思いきや、サイト内では売り切れが相次いでいるのだ。これほどニーズが高い背景には、パナソニックグループの厳しい就業規則が関係しているそう。

「パナソニックでは会議や商談などの公式な場では社章バッジを身に着けることになっています。バッジを紛失してしまうと始末書を書かなければならず、結果的に昇進に響いてしまうこともあるとか。そのため、紛失時にやむなく高額で出品されている商品を買う社員もいるようです」(パナソニックグループ関係者)

 ただ、この取引は法的にグレーな要素が多分にあるという。消費者トラブルや交通事故、相続、詐欺、薬物など民事事件から刑事事件まで幅広く手掛ける『弁護士法人ユア・エース』の正木絢生代表弁護士は次のように話す。

「多くの企業では、社章は入社時に“記念品”として渡されるのではなく、会社名義の備品として従業員に貸し出されているにすぎません。その場合、社章の所有権はあくまで会社側にあり、従業員は業務上、会社の物を預かっている人“という立場です。“会社から貸与されている社章をメルカリで売った”という構図であれば、“預かっていた会社のものを勝手に自分のものにした”と評価され、刑法上の業務上横領罪の典型例になり得ます。また、“社内倉庫から未配布の社章をこっそり持ち出して売った”という構図であれば、窃盗罪が問題になる余地もあります

 パナソニックが社章バッジを完全に個人へ譲渡している場合であっても、社章の販売は問題となり得るようだ。

「パナソニックが社章を完全に従業員個人へ譲渡しているという運用であれば、従業員がそれを売っても、自分の私物を処分しているだけですから、直ちに横領や窃盗にはあたりません。ただ、その場合でも就業規則などで“社章を第三者に譲渡、売却してはならない”と定めていれば、懲戒処分など社内でのペナルティが科される可能性は十分あります」(正木弁護士)

 上記のケースはメルカリで販売されている社章がパナソニック発行の“本物”であった場合。正木弁護士は別の可能性も指摘する。

「もしメルカリ上で売られている社章バッジが、パナソニックが発行したものではない“偽造品”だった場合、話はまた違う角度から重くなります。商標登録されているパナソニックの企業ロゴや社名が付されている社章バッジを販売する行為は、商標権侵害にあたる可能性が高いからです。商標権者の許可なく登録商品と同じ、あるいは紛らわしい表示がなされている商品を販売したり、オンライン上に出品することは、商標の“使用”に該当し、原則として商標法に抵触します」

 メルカリでの社章バッジの転売について、『パナソニックグループ』に今後どのような対策を講じるのか問い合わせしたところ、「現在確認中でありコメントは控えさせていただきます」との回答にとどまった。

 思わぬものが思わぬ価格で取引される『メルカリ』だが、欲をかいては法に抵触し、利益以上の損失が生じる場合もある。出品者には、公正さと慎重さが求められている――。

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