
日本の「モノづくり」を支える金型産業が、苦境に立たされている。1〜9月に発生した金型メーカーの倒産は36件、休廃業・解散は90件となり、計126件が市場から退出。倒産・廃業件数は、ともに過去10年で最多ペースかつ、前年同期比で4年連続の増加となるなど、製造業の空洞化が加速したリーマン・ショック以来の淘汰が進んでいる。
【画像】「金型メーカー(製造業)」倒産・休廃業解散件数 推移
●慢性的な赤字経営が続く金型メーカー
金型は金属や樹脂、ゴム素材などの成形に使用する「型枠」で、製造業を支える重要な産業だ。しかし、近年は技術者や経営者の高齢化によって人材難が続き、取引先の海外移転や内製化へのシフト、原料価格の高騰と価格転嫁の難しさなどを背景に、中小零細規模の金型メーカーで事業を畳む事例が増加。9月までに倒産・廃業となった金型メーカーの約6割を、資本金1000万円未満の事業者が占めた。
金型メーカーの2024年度の業績は、「赤字」(37.3%)が最も多く、「減益」(23.0%)を合わせた6割が業績悪化した。業績悪化の割合は2020年度(71.7%)をピークに低下傾向で推移しているが、依然として多くの金型メーカーが慢性的な赤字経営を余儀なくされている。
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また納品先との力関係から、原材料や人件費、光熱費などのコストアップ分を納入価格に転嫁できる交渉力がないことも課題だ。コストアップ分を自社努力で吸収せざるを得なくなったことで、経営体力を急激に損耗した中小零細の金型メーカーが続出。金型製造業の価格転嫁率は7月時点で37.0%と、製造業全体の水準(42.9%)より低い水準にとどまった。
今後の受注増が見込める電子光学や航空宇宙、建設用金型にシフトしたことで売り上げを伸ばした企業もあるものの、設備投資による減価償却負担が重く、人手不足や資材高も重なり「黒字化が精一杯」といったケースは多い。帝国データバンクは「生産ラインの停止や納期遅延、品質問題といったトラブルを未然に防ぐ、高い技術力やノウハウを有する国内金型産業の保護が欠かせない」とコメントした。
調査の集計期間は2000年1月1日〜2025年9月30日、集計対象は負債1000万円以上で法的整理による倒産。休廃業・解散の定義は倒産を除き、特段の手続きを取らずに企業活動が停止した状態を確認、もしくは商業登記などで解散を確認した企業とした。
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