
現在、自民党と日本維新の会が協議をおこなっている社会保障改革。そのなかで「OTC類似薬」の保険適用見直しが検討されています。「OTC類似薬」が保険適用外になると、私たちの生活にどのような影響があるのでしょうか。
【写真を見る】「OTC類似薬」2026年度から保険適用外に!?生活への影響は…【ひるおび】
与党が検討している社会保障改革の内容は?社会保障制度改革をめぐり自民党と協議を進めている日本維新の会は、社会保険料を引き下げて手取りを増やすため、年間の国民医療費をおよそ4兆円削減することを主張しています。
その具体案として挙げているのが
▽「OTC類似薬」の公的医療保険適用の見直し
▽高齢者の医療費の窓口負担を現役世代と同じ「3割」に拡大 などです。
具体的には、どんな薬が保険適用外になる可能性があるのでしょうか。
そもそも、OTCとは「Over The Counter(カウンター越し)」という意味で、薬局やドラッグストアで手軽に購入できるものを「OTC医薬品」といいます。
それに対し、医師が処方箋を出し調剤薬局で購入する医薬品のうち、市販薬と似た成分・効果の処方薬を「OTC類似薬」と呼びます。
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「OTC類似薬」は約7000品目が該当し、日本総研の調査によると市場規模は年間約1兆円にのぼります。
普段何気なく使用している解熱鎮痛剤や湿布薬、胃腸薬等も「OTC類似薬」に分類されるので、保険適用外になると生活への影響は大きそうです。
いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
どの薬を保険適用外にするか議論して決めるのは難しい。どうしても不公平になってしまう。
医療ジャーナリスト 森まどか氏:
入院患者や在宅医療など、必ずしも軽症のための薬ではないので線引きが非常に難しい。
現在、保険適用の対象である「OTC類似薬」の自己負担割合は、
▽小学生未満→2割
▽小学生〜69歳→3割
▽70〜74歳→原則2割
▽75歳以上→原則1割
仮に保険適用外になった場合、全額自己負担となるものが出てきます。
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実際に保険が適用されなかったら、患者の負担額はどのくらい増えるのでしょうか。
のどの痛みや咳などの風邪の症状がある場合を想定して、伊藤博道院長にシミュレーションしてもらいました。
【「OTC類似薬」保険適用の場合】
▽病院で診察を受ける:診察代(保険適用)1000円〜2000円
▽薬局で処方せんの薬を受け取る:薬代(保険適用)600円〜1000円
診察代+薬代の合計が1600円〜3000円ほどで、
市販のかぜ薬を約2000円で購入した場合とさほど大きな差はありません。
【「OTC類似薬」保険適用外の場合】
▽病院で診察を受ける:診察代(保険適用)1000円〜2000円
▽薬局で処方せんの薬を受け取る:薬代(OTC類似薬が全額自己負担)2000円〜3000円
診察代+薬代の合計が3000円〜5000円になり、市販薬を約2000円で購入するよりも高くなります。市販薬のほうが安いからという理由で、病院で受診するのをためらう患者さんが出てくる可能性も懸念されています。
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いとう王子神谷内科外科クリニック 伊藤博道院長:
自分で病気を判断することになると間違った薬を使う可能性があるので心配です。ただ保険適用で安いから薬を多めに欲しいという患者さんも大勢いるので、何らかの規制は必要ではないかと思います。
(ひるおび 2025年11月14日放送より)

