鉄道中心の“経済圏”へ…SuicaとPASMOが共同参入 新決済サービス「teppay」で上限は30万円に【Nスタ解説】

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2025年11月25日 20:37  TBS NEWS DIG

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TBS NEWS DIG

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JR東日本はPASMOと提携し、新たなコード決済サービスをスタートさせることを発表しました。
加熱するキャッシュレス競争に、新たなうねりを巻き起こすことになるのでしょうか。

【デモ画面を見る】モバイルSuica・PASMOのアプリ上に「teppay」マーク タップしてみると…

モバイルSuica・PASMO利用拡大の足かせに“2万円の壁”?

吉村恵里子キャスター:
発行枚数は1億1337万枚(3月現在)だというSuica。生活になくてはならないという方も多いのではないでしょうか。

Suicaは2001年11月、日本初の交通系ICカードとして登場。2004年3月には電子マネーサービスを開始しました。

一方でPASMOは2007年3月、首都圏の私鉄各線・バスで利用できるICカードとして誕生しました。

今では当たり前となっているスマホでの決済ですが、「交通系決済だけでは不便」という現状が、新サービスの導入につながっているということです。

モバイル決済の利用者数・発行数を比較しました。

▼PayPay:7100万人(9月時点)
▼d払い:7004万人(9月末時点)
▼モバイルSuica:約3908万枚(10月末時点)
▼モバイルPASMO:500万人超(2024年2月)

“交通系”はモバイルに関しては遅れをとっています。その利用拡大の足かせとなっているのが、「2万円の壁」ではないかと言われています。

交通系ICは、チャージの上限が2万円に設定されています。JR東日本によると、きっぷの代わりであることや、紛失や不正使用対策といった背景があるということです。

発行当初から変わっていない上限額ですが、とりまく周囲の環境はどんどん変わっていきます。

【コード決済の利用額】(経済産業省より)
▼2018年:2000億円
▼2024年:13兆5000億円

このようにコード決済利用の広がりが、SuicaとPASMOが参入する背景にあるのではないかということです。

元東京メトロ広報の鉄道ジャーナリスト・枝久保達也氏は、「鉄道中心のお金の流れ、『経済圏』を作りたい。交通系ICは『普段から使っている』という安心感があり、コード決済に乗りおくれている人を取り込みやすい」という分析をされています。

井上貴博キャスター:
各社「生活すべてでうちを使ってください」ということでしょうね。

パナソニック社外取締役 ハロルド・ジョージ・メイさん:
きっぷ代わりとして使うだけでなく、そのほかでも使ってほしいというのはわかりますよね。絶対に便利だと思います。

サービス開始は2026年の秋なのに、なぜ今発表するのかが、私は少し不思議です。

マーケティング的にいうと、競合相手に1年間も準備期間を与えてしまいますし、1年後にはサービス開始のことを忘れているかもしれません。

来月や再来月の導入であれば宣伝にもなりますが、1年後となると「そういえば、なんかあったな」というくらいになってしまいます。

井上キャスター:
早めに発表することで、株主への説明ということになるのでしょうか。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
それはあるかもしれません。

出水麻衣キャスター:
リリースの際には、各社がきっといいキャンペーンを実施するでしょうから、我々としては一度そこで見比べることができるという楽しみがありますね。

新決済サービス「teppay」で買い物や子育てが便利に?

吉村キャスター:
こうしたなか、25日に発表されたのが「teppay」という新サービスです。

新しいアプリをインストールする必要はありません。2026年の秋ごろから、「モバイルSuica」や「モバイルPASMO」の画面に「teppay」マークが追加されます。そこをタップするとコード決済の画面に切り替わります。

交通用の決済はこれまでどおり上限2万円ですが、「teppay」へ切り替えると買い物用のコードが出てきます。チャージ上限は30万円の予定で、クレジットカードと連携すれば、チャージが不要になるということです。また、「teppay」から交通用へのチャージも可能です。

では、我々利用者にとってはどのようなところで役立つのでしょうか。たとえば、買い物や子育ての場面で便利ではないかということです。

コード決済で貯まる「teppayポイント」は買い物などに利用でき、JRE POINTや、PASMO各社のポイントへの交換も検討しているといいます。

さらに、送金機能もあります。親子間での交通費の受け渡しや、割り勘もスムーズになります。

また、地域限定バリューチケットとして、特定の地域や店で利用できるチケットを発行し、自治体のプレミアム商品券などにも対応するということです。

井上キャスター:
今発表されているのはごく一部でしょうから、ここからよりブラッシュアップしたものが出てくるでしょう。それにより、また新たな業界が新たな手を打ってくるという戦国時代になるでしょうね。

ハロルド・ジョージ・メイさん:
消費者にとってはいいことですよね。競争があれば、結果的にどんどんいいサービスになるわけなので、期待したいです。

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<プロフィール>
ハロルド・ジョージ・メイさん
プロ経営者 1963年オランダ生まれ
現パナソニック・アース製薬の社外取締役など

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