Q. 将来の年金受給額を年20万円増やすために必要な「年収アップ額」は?【社労士が解説】

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2025年11月25日 20:50  All About

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将来の年金を増やしたいなら、今の年収を上げることが有効なのでしょうか? 厚生年金の「標準報酬月額」の仕組みを踏まえて年収と受給額の関係について社会保険労務士が解説します。※サムネイル画像:PIXTA
将来の年金受給額を年20万円増やすには、今の収入を上げればいい? そう考える人も多いのではないでしょうか。年金を増やすための具体的な方法を、あなたは正しく把握していますか。

『私の老後のお金大全 一番シンプルで堅実な人生後半のお金の備えガイド』(井戸美枝著)では、年金問題を得意とするファイナンシャル・プランナー(CFP)で、社会保険労務士の著者が「老後のお金の疑問」を一問一答形式でやさしく解説しています。

本書から一部抜粋し、将来の年金受給額を増やすための具体的な方法と、収入が上がっても年金額が増えない場合がある「標準報酬月額」の仕組みについて紹介します。

Q. 年金受給額を年20万円増やすには?

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A. 平均年収100万円アップが受給額年20万円増の目安
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厚生年金の支払う保険料と将来の受給額は、厚生年金に加入している間の「収入水準」によって決まります。

そのため、将来の年金の受給額を増やすために今からできることの一つは、年収を増やすことです。

【図1】は、収入を増やすことで1年間にどのくらい年金がアップするかを示した早見表です(実際の受給額は物価や賃金の変動に合わせて毎年改定されるため、あくまで現在の受給額の算出式を前提とした概算額)。
【図1】年収と年金受給額の増減 ※画像出典:『私の老後のお金大全』

表内の数字はAとBの年金受給額の差額です。例えば、社会人デビューから60歳までの平均年収が150万円の場合と200万円の場合とでは、年金受給額に年間15万5300円の差が生じることを表しています。

そこで改めて早見表を見てみると、将来の受給額を年20万円上げるためには、平均年収を100万円ほど上げる必要があることが分かります。

資格の取得や転職なども視野に入れながら、年収アップを目指しましょう。

Q. 収入が上がるにつれて年金受給額も増えていく?

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A. 収入が上がっても、年金額は増えない場合も
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加入期間の長さのみで受給額が決まる国民年金に対して、厚生年金の支払う保険料と将来の受給額には「収入水準」も影響します。

収入水準は、給与に残業手当、通勤手当などを加えた「報酬月額」を基に計算された「標準報酬月額」によって決められます。

【図2】は厚生年金保険料額表の一部分を抜き出したもの。このように、保険料額は標準報酬月額によって32等級に区分され、等級が上がれば上がるほど、受け取れる年金額も増えていきます。
【図2】厚生年金保険料は「標準報酬月額」で決まる ※画像出典:『私の老後のお金大全』

例えば、月収(標準報酬月額)が34万5000円から35万5000円に上がった場合、等級が21から22に上がるため、受け取る年金額も増えます。

一方で、月収が1万円増えたとしても、33万5000円から34万5000円に上がった場合には、等級は21のまま変わらず、受け取る年金額は増えません。

月収が1万円増えたからといって、必ずしも支払う保険料と将来受け取る年金額が増えるわけではないのです。

井戸 美枝(いど・みえ)プロフィール
ファイナンシャル・プランナー(CFP認定者)、社会保険労務士、経済エッセイスト、社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員を歴任、国民年金基金連合会理事。講演や執筆、テレビ、ラジオ出演などを通じ、生活に身近な経済問題、年金・社会保障問題について解説している。近著に『ゼロ活 〜お金を使い切り、豊かに生きる!』(扶桑社)、『知らないと増えない、もらえない 妻のお金 新ルール』(講談社)、『ひとりで自分資産はつくれる 52歳からお金を貯める・増やす』(主婦の友社)など。
(文:井戸 美枝)

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  • いくら真面目に掛け金払い続けても、まるで韓国政府の慰安婦問題みたいに日本政府は年金支給のルールのゴールポストをいくらでも動かすから、馬鹿らしいよ。
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