サッカー日本代表のベスト&ワーストシナリオ ワールドカップ優勝の夢を打ち砕く組み合わせとは

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2025年11月26日 10:20  webスポルティーバ

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 12月5日(現地時間)のワールドカップ組み合わせ抽選会に向けて、世間にはポット分けの一覧表が出回っている。

 ただし、これは確定したものではない。FIFAが欧州プレーオフ、大陸間プレーオフの計6枠をどう配するかなどをまだ発表をしていないからだが、前回同様、プレーオフを突破するチームは自動的にポット4に組み込まれるのだとすると、以下のようになる(カッコ内はFIFAランキング。プレーオフを勝ち抜く6チームは別のポットに振り分けられる可能性もある)。

▽ポット1
アメリカ(14)、メキシコ(15)、カナダ(27)、スペイン(1)、アルゼンチン(2)、フランス(3)、イングランド(4)、ブラジル(5)、ポルトガル(6)、オランダ(7)、ベルギー(8)、ドイツ(9)

▽ポット2
クロアチア(10)、モロッコ(11)、コロンビア(13)、ウルグアイ(16)、スイス(17)、日本(18)、セネガル(19)、イラン(20)、韓国(22)、エクアドル(23)、オーストリア(24)、オーストラリア(26)

▽ポット3
ノルウェー(29)、パナマ(30)、エジプト(34)、アルジェリア(35)、スコットランド(36)パラグアイ(39)、チュニジア(40)、コートジボワール(42)、ウズベキスタン(50)、カタール(51)、サウジアラビア(60)、南アフリカ(61)

▽ポット4
ヨルダン(66)、カーボベルデ(68)、ガーナ(72)、キュラソー(82)、ハイチ(84)、ニュージーランド(86)、欧州プレーオフ1(イタリア、北アイルランド、ウェールズ、ボスニア・ヘルツェゴビナ)、欧州プレーオフ2(ウクライナ、スウェーデン、ポーランド、アルバニア)、欧州プレーオフ3(トルコ、ルーマニア、スロバキア、コソボ)、欧州プレーオフ4(デンマーク、北マケドニア、チェコ、アイルランド)、大陸間プレーオフ1(ニューカレドニア、ジャマイカ、コンゴ民主共和国)、大陸間プレーオフ2(ボリビア、スリナム、イラク)

 果たして日本はどの国と戦うことになるのか。

【ポット2入りは確かに有利だが...】

 来年6月に開催される北中米ワールドカップの足音が聞こえてきた。

 FIFAの正式な発表はまだだが、グループリーグの組み合わせ抽選会を前に、FIFAランキング18位の日本がポット2に入るのは確定的になった。これは史上初めてで、優位性があるのは間違いない。前回のカタールワールドカップはポット3でドイツ、スペインと同組だったが、2カ国の強豪とぶつかる可能性が低くなったのだ。

 たとえばグループリーグでは、カナダ、日本、チュニジア、ニュージーランドという組み合わせも考えられる。

 率直に言って、日本にとっては格下ばかりである。開催国の後押しを受けたとしても、カナダの夢を打ち砕くことはできるだろう。チュニジアは予測不可能なプレーをしないチームで、組織の強さの応酬だったら日本に分がある。ニュージーランドとの実力差は明らかだ。

 森保ジャパンは、選手の所属クラブだけを見ても戦力が整っていることはわかる。

 上田綺世(フェイエノールト)は今シーズン、オランダリーグで得点を量産している。鎌田大地(クリスタル・パレス)、久保建英(レアル・ソシエダ)は技術、知性で別格。南野拓実(モナコ)もそれに続く。三笘薫(ブライトン)、中村敬斗(スタッド・ランス)、堂安律(フランクフルト)、伊東純也(ゲンク)は違うリズムを持つアタッカーだ。遠藤航(リバプール)、守田英正(スポルティング)、佐野海舟(マインツ)の中盤は強固で変化もつけることができる。板倉滉(アヤックス)、渡辺剛(フェイエノールト)はオランダの名門でバックラインを務める。

 ケガ人が多く出るなかでも、10、11月シリーズはブラジル、ガーナ、ボリビアに3連勝し、地力を示したと言える。「ワールドカップ優勝」と、威勢のいい声も増えてきた。

 しかし、過去のワールドカップでは、前評判が高く大風呂敷を広げたときほど一敗地にまみれている。グループリーグで敗退した2006年ドイツ大会しかり、2014年ブラジル大会しかり。一方で、大会前は批判に晒されていた2010年南アフリカ大会、2018年ロシア大会はベスト16に勝ち進んだ。

【アルゼンチン・ノルウェー・イタリア】

 周りが煽るほどチーム内には過信が芽生える。どれだけ「そんなにうまくはいかない」と自省しても、それは避けられない。だからこそ、周囲はバブルのような"楽勝の気配"を作るべきではないのだ。

 事実、最悪の想定もある。たとえばアルゼンチン、日本、ノルウェー、イタリアという組み合わせもない話ではない。

 アルゼンチンは唯一無二のリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)を擁し、今回の南米予選も1位で、ブラジルには連勝して蹴散らしていた。カタールワールドカップ優勝メンバーのGKエミリアーノ・マルティネス(アストン・ヴィラ)、DFニコラス・オタメンディ(ベンフィカ)、MFアレクシス・マック・アリスター(リバプール)、FWフリアン・アルバレス(アトレティコ・マドリード)、ラウタロ・マルティネス(インテル)が健在で、ジュリアーノ・シメオネ(アトレティコ・マドリード)、フランコ・マスタントゥオーノ(レアル・マドリード)など野心的若手も次々に出ている。

 残念ながら、日本よりも戦力は上だ。

 そしてノルウェーは最大の脅威だろう。ワールドカップ欧州予選でイタリアを寄せつけなかった強さは本物で、それがポット3にいるのはどの国にとっても悪夢と言える。アーリング・ハーランド(マンチェスター・シティ)、アレクサンダー・セルロート(アトレティコ・マドリード)の2トップは高さ、速さ、強さ、うまさを兼ね備え、その破壊力はすさまじい。

 日本は単純な高さや強さに現在も弱く、機動力や工夫で対抗できるか。

 ジェンナーロ・ガットゥーゾ監督率いるイタリアは戦術的に凡庸で、昔日の面影はない。プレーオフで勝ち残れても、守備は堅牢だが勝負強さ、得点力は失われている。ただし、守護神ジャンルイジ・ドンナルンマ(マンチェスター・シティ)は健在で、昨季チャンピオンズリーグファイナリストのインテルに所属するアレッサンドロ・バストーニ、ニコロ・バレッラ、ダヴィデ・フラッテージは強力なカードだ。

 森保ジャパンは、果たして手負いで挑みかかるイタリアの息の根を止められるのか。

【ベスト8は茨の道に】

 このような"最凶"の組み合わせになれば、日本がグループリーグで2位以内に入るのは至難の業だろう。いや、3位も安泰ではない。欧州予選プレーオフの顔ぶれを見ると、トルコ、ポーランド、スウェーデンなど12チーム中4チームしか勝ち上がれない状況で、アジアがどれだけ予選が楽な地域か、わかるだろう。

 今回のワールドカップから出場枠は32カ国から48カ国に増えた。グループリーグの4チームから上位2チームと3位の上位8チーム(12チーム中) がラウンド32に進出となる。グループリーグを勝ち上がっても、ベスト32に入ったにすぎないのだ。過去最高のベスト8に進出するには、ノックアウトステージで2回は勝つ必要があるのだ。

 ノックアウトステージでは、ポット2、もしくはポット1の相手との試合になる公算が高い。たとえば、森保ジャパンはモロッコ、スペインとしのぎを削ってトーナメントを勝ち上がれるのか。

 モロッコは各ポジションに優れた選手を擁し、勝つたびに強くなる。カタールワールドカップ4位の成績は伊達ではない。GKヤシン・ブヌ(アル・ヒラル)やDFアクラフ・ハキミ(パリ・サンジェルマン)は大会ベストイレブン候補のワールドクラスだ。

 また、スペインはロドリ(マンチェスター・シティ)、ペドリ、ラミン・ヤマル(ともにバルセロナ)が世界最高フットボーラーの域にある。彼ら以外にもマルティン・スビメンディ(アーセナル)、アレックス・バエナ(アトレティコ・マドリード)、フェラン・トーレス(バルセロナ)らが異なる強さを発揮できる点で、カタールで日本に金星を献上した脆弱さはない。欧州王者として全盛期を迎えている。

「史上最強」と言われる日本の陣容も、チャンピオンズリーグで優勝を争う選手がごろごろいるスペインなどと比べると見劣りする。

 森保ジャパンは地に足をつけた準備をするべきだろう。ポット2入りはアジア予選の成績が反映されたもので、ホームでの親善試合も当てにならない。ワールドカップで優勝するにはモロッコ、スペインのような相手に5連勝することが必要で、夢物語に近い。

 FIFAランク18位の日本は現実的にベスト8を狙い、まずはグループリーグの相手を受け入れ、その先を目指すべきだ。

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