
突然の地方移住×建国宣言で転がり始める少女の青春――。「日本から独立する」と言い出し王を自称する父に振り回され、姫となってしまった主人公を描く漫画『うちがキングダム』の第1話がXに公開されている。
この常識外れの物語を生み出したのは原作・森巡るさん(@mori_MORIKO_)、作画・砂糖野しおんさん(@S_Satono)のコンビ。その制作裏に迫りたい。
――Xに投稿した手応えはいかがでしょう?
砂糖野しおん(以下、砂糖野):Xの投稿をきっかけに興味を持ってもらえて、単行本を購入していただいたり、続きを読んでくれる方もいてとても嬉しく思っています。
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森巡る(以下、森):沢山の方に読んでもらえることは嬉しいですが、もっともっと読まれてほしいと思いました。それだけの力がある作品だと自負しています。
――制作経緯について教えてください。「自分の家が王国」という不思議な世界観を考えたきっかけは?
森:突然独立を宣言する自称国家(ミクロネーション)を、現代日本を舞台に描くとどうなるかなという興味からです。この題材で青春の物語やラブコメを扱ってみるのは面白いと思いました。
砂糖野:最初に「うちがキングダム」のネームを読んだとき、突飛な始まりでありながら、とても読みやすく、すんなり入ってくる世界観に衝撃を受けました。
――おふたりは普段どのように共作されているのでしょう?
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砂糖野:担当編集の方を通して基本メールでやり取りしてます。
森:私が原作のネームを担当編集さんに送って、そのネームを元に砂糖野先生に作画していただくという、割と一般的な原作・作画の分業スタイルだと思います。
――お互いの印象について教えてください。
砂糖野:森さんは作品やキャラクターに対して常に誠実で、懐が深い方だと感じてます。作画の過程で生じる私の細かな疑問にもいつも丁寧にご対応くださり、それによってキャラクターへの理解が深まることばかりです。
森:砂糖野先生は絵がとても上手い。仕事も人柄もとても丁寧な方だと思いますね。
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砂糖野:作画に関しては修正をほとんどいただいたことがなくて、おかげ様でのびのびと毎話楽しく作画させていただいていています。
――砂糖野さんは作画担当ということで。どんな気持ちで作品に臨まれているのでしょうか。
砂糖野:作画担当としては、森さんからいただいたネームの世界観をなるべくそのままに、表情や細かい仕草などで肉付けしていくような感覚で描いてます。あとは最初に衝撃を受けた原作の読みやすさは絶対に守りたいので、フキダシの位置や大きさ、セリフの追いやすさは時間をかけて微調整してます。
――絵を見る限り、主人公一家の移住先は山梨だったようなのですが、これはなぜでしょう?
森:そうですね、山梨です。高校生である主人公が移住後も東京まで遊びに行ける場所として舞台を探しました。いくつか候補地がありましたが、綺麗な街並みから主人公たちの生活のイメージが湧いたので山梨県に決めました。
砂糖野:山梨へは連載前に取材で伺いました。事前に、富士山がよく見える場所を探して登山をしたのですが、山頂からの眺めがあまりにも美しく、いまでも鮮明に覚えています。山梨グルメを味わえなかったことだけが心残りなので、改めて遊びに行きたいです。
――もしご自分が主人公・早川ミキ(王女)だったら、自分の境遇をどう感じて、どう行動すると思いますか。
森:自分がどう行動できるかは別として、「こう行動したい」と感じることを、これからミキが作中ですると思うので、今後の物語を読んでほしいです。
砂糖野:私は親の本気をどうにかできると思えないので、表面上はとにかく合わせて、親の見てないところでグレるか、逆にオープンにネタ話にしてしまうかもしれません(笑)。
森:ただ、これは大事な問いですよ。というのもミキの境遇はそこまで特殊ではないからです。「有名人の子が有名人の子」と見られるような分かりやすいことだけでなく、「教師の子は教師の子」」と見られるし、「会社員の子は会社員の子」として見られます。
誰かの子であることで程度の差はあれ、それぞれのフィルターを通して考えられるのかなと。そういったことも感じながら読んでもらえると嬉しいです。
――単行本1巻も発売となっていますが、こちらの反響などはいかがですか。
砂糖野:単行本を購入の報告をしてくださる方もいて、それを聞くと嬉しいですね。
森:感慨深いお気持ちもあるのかなと思います。とにかくもっと多くの方に読んでいただきたいという気持ちです。
砂糖野:1巻の発売の時期に「週刊スピリッツ」で巻頭カラーを描かせてもらったことも嬉しかったです。
――今後『うちがキングダム』はどのように描き進めていきますか?
森:常に最新話が面白くなるようにできればと思っています。主ジャンルはラブコメですが、恋愛に限らず人との繋がりに関わる色んなエピソードを描いていきたいです。見どころは、重いようで軽くて優しい物語、そして砂糖野先生の柔らかく綺麗な絵。
砂糖野:少し先までネームを読ませていただいてますが、この先の展開も面白いです。
森:話が進むなかで新たな問題意識が生まれたり、キャラクターをさらに理解できる場面もあるので、もっと描けることはあると思ってます。
砂糖野:王様(父)が次に何を言い出すのかだけでなく、それに対して動く美姫たちの等身大の青春の様子もぜひ楽しみにしていただければ。
(文・取材=小池直也)
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