ローソン「高級ハイボール」が好調 1缶600円でも売れているワケ

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2025年11月27日 08:50  ITmedia ビジネスオンライン

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1缶600円も! ローソンの高級ハイボール

 ローソンが販売する「高級ハイボール」が売れている。1缶300〜600円台と高価格帯ながら、発売初週の売り上げは通常価格のウイスキーハイボール缶新商品と比べて約3倍に達し、好調なスタートを切った。缶だけでなく、同じ銘柄のボトル商品の売り上げも伸びている。


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 最近では、新商品発売日に売り切れる前に購入しようと、店舗を訪れる熱心なファンも増えている。そもそも、ローソンはなぜ高級ハイボールの販売を始めたのだろうか。これまでの主なラインアップや、ヒットの理由について、酒開発担当の倉光雄志さんに話を聞いた。


●高級銘柄をハイボール缶でお試し


 ローソンが同社限定の高級ハイボール缶を初めて発売したのは2024年で、発売のきっかけは主に3つだった。


 1つめは、2023年6月に数量限定で発売した「サントリープレミアムハイボール〈白州〉350ml缶」の登場だ。サントリーウイスキーの100周年を記念して発売された商品で、ローソン限定ではないものの、350mlで600円という高価格にもかかわらずヒットした。倉光さんによると「それまで200円台がハードルとされていたハイボール缶に、高付加価値を付けることで、高価格でも購入しやすくなったのではないか」という。


 2つめは、ウイスキーならではの飲み方に着目したことだ。バーなどでウイスキー通が選ぶような高級銘柄は、ボトルで販売されていることが多い。興味はあっても、「ボトルは高価で飲みきれない、失敗したくない」という意識が働き、結果としていつものお酒を選び、多くの銘柄を試せない人もいる。そこで、ハイボール缶にすることで、新たなウイスキー銘柄を気軽に体験できるきっかけになると考えた。


 3つめは、酒開発担当である倉光さん自身の体験に基づくものだ。担当になる前は、ハイボールといえば角ハイボールのイメージが強かった。しかし、さまざまなウイスキーを知るうちに、その日の気分に合わせて銘柄を選ぶ楽しさに気付き、現在の開発にも生かしているという。缶で気軽にさまざまな種類のハイボールを試せるようにすることで、誰もが自分に合った銘柄に出会うきっかけを提供したいと考えている。


●「ささる」「シェアしたくなる」銘柄を中心に販売


 こうして、2024年12月に同社限定で「バスカーハイボール」(8%、6%の2商品)が登場した。容量は350ml缶で、価格は各328円。人気のアイリッシュウイスキー「BUSKER」を使用した高級ハイボール缶となる。


 発売3日間の売り上げ本数は、定番の売れ筋商品を上回り、ウイスキーハイボールのジャンルで1位と2位を記録。2025年7月に再登場し、同年10月には500ml缶も発売した。


 2025年8月には、スコットランド産ブレンデッドモルトウイスキー「ビッグピート」を使用したハイボール缶「ビッグピート スーパースモーキーハイボール」(350ml、438円)と、英国産オールドトムジン「ジンクスオールドトムジン」を使った「ジンクス ジンソーダ」(350ml、220円)の2品を、いずれもローソン限定で発売した。


 「ビッグピートはパッケージにインパクトがあるため、ボトル自体は見たことがある人も多いのではないか。一方、バーなどで見たことはあるが、飲んだことがないハードルの高い銘柄でもある。そこで、ハイボール缶にすることで新たな飲用体験につながると考えた」と倉光さんは話す。


 同年9月には、2024年にローソンで先行発売して好評だった「カバランバーカクテル トリプルシェリーカスクシングルモルトハイボール」(320ml、495円)を数量限定で発売。オロロソ、ペドロヒメネス、モスカテルという3種のシェリーカスク熟成ウイスキーのみをブレンドしたシングルモルトウイスキーで、ウイスキー愛好者に人気の商品である。


●商品化の基準


 2025年9月、ローソン限定で発売され話題になったのが、スコットランド・アイラ島のスコッチウイスキー「ブルックラディ」を使用した「ザ・ラディ・ハイボール/THE LADDIE HIGHBALL」(350ml、600円)である。発売初日の売り上げは酒カテゴリー全体で1位となり、数量ベースでも1本600円と高価格帯ながら2位を記録した。


 10月には、富山県にある「三郎丸蒸留所」のスモーキーハイボール「スパニッシュオークフィニッシュ」(350ml、462円)を発売。12月にも、500円台の高級ハイボール缶の発売を予定している。


 商品化の基準は、ウイスキー好きが反応したくなる銘柄であり、周囲にすすめたくなるポイントがあること。また、ビッグピートのようにパッケージにインパクトがあり認知はされているが、まだ飲んだことがない人も多い銘柄であることだ。


●30〜40代に好調、ヒットの要因は


 購買層を見ると、特に30〜40代の男性に人気が高いことが分かる。同社データでは、通常のハイボール缶は50〜60代が好む傾向にあるが、高級ハイボール缶については「興味があるが、まだ飲んだことがなかった人」が選んでいると予測している。SNSなどでの反応を見ると「ブラックラディが好きだからおすすめしたい、まとめ買いしている」という熱心なファンも多いという。


 さらにローソン店舗では新たな購買行動として、「BUSKER」や「ブルックラディ」のハイボール缶をきっかけに、店舗に置いている同銘柄のボトルを購入する人も増えている。缶で試し飲みができたことで、ボトル購入につながった人も多いようだ。


 「ハイボール缶を飲み続けてもらうのもうれしいが、お酒が好きな人はボトルを購入することが多いため、ハイボール缶を入口に新たな飲用体験につながっていたらうれしい」(倉光さん)


 ヒットの要因について、倉光さんは、周りの人にすすめたくなる銘柄が多いことに加え、新商品をいち早く試す「アーリーアダプター」の中でも、周囲に影響力を持ち商品をすすめる「オピニオンリーダー」が他のカテゴリーより多いことを挙げている。また、「デジタルプロモーションも行っているが、一般の人が自らリコメンドしてくれるおかげで、実績が高く出ている」という。


●ファンの“好きの深さ”が大事


 富士経済の調査によると、2025年のウイスキー市場は、2023年比108.5%の約4000億円になると予測している。糖質ゼロのハイボールは健康志向もあり、右肩上がりで推移している。さらに最近では、少し高くても付加価値のある「ごほうび」需要も増えており、ローソンでも市場拡大が続くと見ている。


 今後も、限定品や数量限定を含めた高級ハイボール缶をコンスタントに投入していく方針だ。「高級ハイボールの販売を通じて、ウイスキーはどれだけ知っているかではなく、どれだけ好きか、ファンの“好きの深さ”が大事だと気付いた。熱心な顧客が自ら発信しており、その広がりには驚かされている。そうした“深い”ファンに『さすがローソンだね』と言ってもらえる商品を提供し続けたい」(倉光さん)


 2026年には、どのような高級ハイボール缶が登場するのか。引き続き注目したい。


(熊谷ショウコ)



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