
2025年10月に法改正された育児・介護休業法は、働く親世代の現在の働き方をどう変えるのか、また会社の制度整備の進捗状況はどうなっているのか。
【どう考えている?】働く親世代「残業なしなら、給与減でもOK」という声も
人事労務クラウドソフト「オフィスステーション」を提供するエフアンドエム(大阪府吹田市)が人事担当者と一般従業員を対象に実施した調査から、実態が見えてきた。
2025年10月時点での育児・介護休業法改正への対応状況を企業に調査したところ、「完了している」は65%にとどまり、35%が「現在準備中」だった。対応状況を企業規模別に見ると、中小・大企業とも「対応完了」が60%台で推移し、規模による大きな差はなかった。
企業からは「要員不足」「業務分担が難しい」「現場の理解不足」など、運用段階での課題が多く寄せられており、制度整備が進んでも、要員配置や業務分担の難しさが障壁となっていることがうかがえる。
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育児・介護休業法に関連するが、自社では現実的ではない制度を人事担当者に尋ねたところ、「時間単位・半日単位の休暇取得」(17%)、「テレワークの仕組み」(16%)が上位を占めた。理由として「半休などの休暇取得」「テレワーク」が現場の業務状況に合わせにくいという声が挙がった。
●人事・従業員のニーズのズレ
子育てと仕事の両立に必要な制度について尋ねたところ、人事担当者では「始業時刻などの変更」(84%)、「短時間勤務」(75%)に回答が集まった。一方、従業員からは「始業時刻などの変更」(58%)のほか、「短時間勤務制度」(44%)、「テレワーク」(41%)などにも回答が分散した。
企業側は制度整備の焦点を絞る傾向がある一方、従業員は家庭や働き方の多様化に応じた選べる制度を求めていることが見てとれた。
柔軟な働き方を実現するために必要と考える施策について、従業員の男女別で見ると、女性は「突発的な休みを取れる職場の雰囲気」(66%)、「成果型評価制度」(60%)など、評価の公平性や職場の理解に関わる項目が高く、現場での支え合いを重視する傾向がうかがえる。
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一方、男性のトップは「時間単位や半日単位での休暇の取得」(60%)だったほか、「テレワークの仕組み」(42%)も相対的に高く、場所や時間の柔軟性を求める傾向が見られた。
柔軟な働き方を実現するために、給与が減少するとしたらどうか。従業員の多くが「給与が減らない範囲で柔軟な働き方を望む」と答える一方で、「減収してでも柔軟な働き方を実現したい」という声も一定数あった。
給与が減っても柔軟な働き方を望むと回答した人からは、「家族の時間が大事」「無理なく働きたいから」「給与での差を明示化することで公平性が担保される」といった意見が寄せられた。
エフアンドエムは「柔軟な働き方の実現に向けて、企業が注目すべきは多数派の平均ではなく、強い必要性を抱える少数派をどう支えるかという視点だ」とコメントした。
調査は、企業の人事担当206人、従業員408人を対象にインターネットで実施した。期間は10月10〜14日。
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