GIと同距離の条件戦/島田明宏

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2025年11月27日 21:00  netkeiba

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▲作家の島田明宏さん
【島田明宏(作家)=コラム『熱視点』】

 都内の自宅兼事務所から京都競馬場に行くとき、私は羽田空港から飛行機を使うことが多い。先週のマイルCS取材のときもそうだった。以前は、大阪空港からバスで新大阪に移動し、そこからJR京都線で山崎に行き、競馬場への直通バスに乗っていた。ところが、そのバスが去年廃止されたので、JR京都線を高槻で降り、高槻市駅から阪急電車に乗って西山天王山から競馬場への直通バス、というルートにした。

 接続がスムーズなら、品川から新幹線を使うのとほぼ同じくらいの時間で着く。

 今回は早めの飛行機に乗ったので、余裕をこいて大阪空港のラウンジでコーヒーを飲んでウ○コをしてからバスに乗った。そこまではよかったのだが、新大阪から新快速に乗ろうとしたら、JR神戸線で線路内に人が立ち入ったとかで、いつまで経っても新快速が来ないので焦ってしまった。

 関東在住の競馬ファンに、このルートはオススメなのだが、乗り換えが多くなると、どれかでトラブルに遭う確率も高くなる。なので、時間には余裕を持って出かけ、ウ○コをするなら都内で済ませたほうがいい。

 ともかく、予定より少し遅れたが、無事京都競馬場に着いた。

 最悪でもマイルCSと同距離で行われる第9レースの花見小路特別に間に合えばいいと思っていたのだが、有馬記念の前に同距離のグッドラックHCがあるように、メインのGIの前に条件戦の同距離のレースがあると、ラップや勝ちタイム、内外の有利不利などを比べられて面白い。

 ほかのGIはどうかと今年のレースを見てみると、フェブラリーSの前には条件戦ではないがヒヤシンスS、高松宮記念の前には3歳未勝利戦(第5R)、大阪杯の前には1勝クラス、桜花賞の前には2勝クラス、皐月賞の前には野島崎特別、天皇賞(春)の前にはなく、NHKマイルCの前には3歳未勝利戦(第4R)、ヴィクトリアマイルの前にはテレ玉杯、オークスの前には1勝クラス、日本ダービーの前には青嵐賞、安田記念の前には1勝クラス、宝塚記念の前には3歳未勝利戦(第4R)、スプリンターズSの前には2歳未勝利戦(第2R)、秋華賞の前には2歳新馬戦(第5R)、菊花賞の前にはなく、天皇賞(秋)の前には百日草特別、エリザベス女王杯の前にはなし、となっている。

 特に意識して番組が構成されているわけではないようだ。天皇賞(春)や菊花賞などは、今となっては特殊な超長距離の部類に入るので、条件戦があったとしても、出る馬がいないのかもしれない。

 GIと条件戦だと、騎手同士の駆け引きの度合いが当然異なり、GIのほうが極端な展開になりやすい。同じ日の比較対象として、同距離のレースがその前にあれば、レースの特殊さや、それぞれの勝因、敗因について考察する材料が増えるので、レビューを書くときにありがたい。それはつまり、話のタネになりやすいということでもある。

 こう書いてあらためて思ったのは、グッドラックHCが、有馬記念とセットで「暮れの名物レース」と言えるポジションを確立している、ということだ。去年の勝ち馬スティンガーグラスなどは、今年か来年の有馬記念にもし出たら、かなり楽しませてくれるのではないか。

 マイルCS取材から戻り、自宅兼事務所マンションのエレベーターに乗ろうとしたら、壁に「最近、オートドアを開けた居住者と一緒に入り込む『共連れ』という侵入方法でマンション内に立ち入る不審者がいます――」と記された貼り紙があることに気がついた。この稿に書いたように、わりと最近、私はそれをこのマンションでやってしまった。理事会で親しくなったAさんと一緒に入ったのだが、ほかに誰かいたかどうかは覚えていない。私が貼り紙のきっかけになったのだろうか。

 自分が共連れすることも、共連れされることも気をつけなければ。このあたりはけっして治安のいい地域ではないので、夜歩くときはオヤジ狩りをされないよう気をつけているのだが、マンションのエントランスに入ると気が緩み、今回も、自分以外に誰かいるかどうか確認せずにオートドアを開けてしまった。

 さて、発売中の『優駿』12月号に「2025優駿エッセイ賞」のグランプリ受賞作「脚音(あしおと)が梁を揺らすとき」が掲載されている。受賞者の八田悠さんは23歳の大学院生で、構造設計者を志しているという。

 ユニークとはまさにこのことという面白さで、びっくりした。

 私が選考委員に加わったのは2014年からで、そのときは古井由吉さん、吉永みち子さん、大崎善生さん、優駿編集部の山上昌志さんと私というメンバーだった。その後、古井先生が辞したのち亡くなり、大崎さんも旅立って3人になって寂しかったのだが、今年から古内一絵さんが委員になった。読みながらとても清々しい気持ちになれる名作で、ドラマ化もされた『風の向こうへ駆け抜けろ』などの著者である。

 吉永さんと古内さんと山上さんと私の選評を読んでいただければわかるように、4人とも好みやタイプが異なっている。つまり、いろいろな作品が高く評価される可能性がある、ということだ。

 ぜひ、気軽に応募してほしい。グランプリの賞金は50万円。原稿用紙10枚でこの金額はかなり美味しい。

 ずっと以前から『netkeiba』でもエッセイの公募をしたらいいのではないかと思っていて、何度かここに書いたこともあるのだが、Mさん、検討してくれないだろうか。

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