スキャナアプリ「Microsoft Lens」終了へ 代わりに使いたい4つのサービスを徹底比較

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2025年11月28日 07:20  ITmedia ビジネスオンライン

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紙の書類をスマホでデジタル化できる「Microsoft Lens」が提供を終了する、後継となりうるスキャナアプリを紹介する。

Q.スキャナアプリ「Microsoft Lens」が廃止されると聞きました。今後は何を使えばいいのでしょうか?


【画像】スマホのCopilotアプリ内にスキャナ機能が内蔵されている。個人、企業アカウントともに利用可能


 紙の書類をスマホでデジタル化できる「Microsoft Lens」が提供を終了し、2025年12月15日以降は使用できなくなる。今後は何を使えばいいのだろうか? 後継となりうるスキャナアプリを比較した。


●正式後継のCopilotアプリはOneDrive連携に強み


 マイクロソフト公式の後継アプリとなるのが、Microsoft 365 Copilotアプリ内のスキャン機能だ。項目が見つけづらい場所にあるため、存在を知らないユーザーも少なくないだろう。画面左上の「≡」からメニューを開き、「作成」→「スキャン」から起動できる。


 Lensアプリでは最初に「書類」「名刺」など文書の種類を選ぶ項目があったが、Copilotアプリのスキャンは種類を選択せずにすぐ撮影を開始する仕様になっている。


 撮影後のデータの調整画面はMicrosoft Lensとほぼ同様で、トリミング範囲の再選択や紙面の回転、マークアップ、テキストボックスの挿入などが可能。また、画面下部の項目からフィルターを選択して適用することもできる。書類のスキャンの場合、「白黒」を選ぶと視認性が高まるのでおすすめだ。


 スキャンデータはPDFもしくは画像として保存が可能。Lensアプリでは、書類をWord、Excel、PowerPoint形式で保存するオプションが選択できたが、Copilotアプリのスキャンでは、現時点ではそういった機能は搭載されていない。


 デフォルトの保存先はOneDriveの任意のフォルダとなっているが、共有メニューから他のオンラインストレージなどを選択すれば、OneDrive以外の場所に保存することも可能だ。


 Lensアプリでは、スキャンした書類がOneDrive内の「Office Lens」フォルダに保存される仕様だった。Copilotアプリへの移行後も保存先に同じフォルダを選ぶことで、データを一元管理できる。OneDriveでデータを管理する前提の運用なら、もっともスマートな選択肢となるだろう。


●「Adobe Scan」はページのサイズ変更にも対応


 これを機に、より高機能なツールへの移行を検討しているなら、Adobe Scanがおすすめだ。一部制限はあるものの、無料のAdobeアカウントでも基本機能は問題なく利用できる。


 スキャンしたい書類にカメラを向けると書類の範囲が認識され、自動で撮影が行われる。複数の書類を連続して自動撮影することも可能だ。


 スキャン後の画面では、明るさやコントラスト、トリミングの範囲の再選択といった基本的な調整に加え、不要なコンテンツを周囲の色で塗りつぶす「クリーンナップ」などが行える。有料プランなら、AIを使ってより簡単に不要箇所を消去する「マジック消しゴム」も利用可能だ。


 意外と重宝するのが、PDFにした際の書類のサイズや向きを設定できる「ページサイズ」だ。領収書などの小さな紙をA4サイズで印刷したいときや、複数のサイズが混合する書類をひとつのPDFファイルにまとめたい場合などに役立つ。


 スキャンした書類は自動でAdobeのオンラインストレージ上に保存される。アプリのホーム画面に表示されるスキャン履歴の「共有」メニューから、他のオンラインストレージなどに書き出すことも可能だ。


 さらに、有料プランの場合は、保存後にアプリ内でテキストの編集をしたり、複数のファイルを結合したりといった操作もできる。PDFの書類として使い勝手のいい状態にする作業までできるのが強みだ。


●手軽さ重視ならiPhone「メモ」やGoogle ドライブを活用


 より手軽に使えるスキャナ機能を求めているなら、iPhone純正の「メモ」アプリを使う方法もある。


 新規メモを開き、クリップアイコンから「書類をスキャン」を選ぶとカメラが起動し、自動で書類の認識と撮影が行われる。スキャンした書類はメモ内にPDFとして保存され、そこから共有メニューで他のアプリに書き出すことも可能だ。


 また、Google ドライブアプリ内にもスキャナ機能が用意されている。アプリ内の「+」ボタンから「スキャン」を選ぶと起動し、スキャン後はGoogle ドライブの任意のフォルダに保存できる。


 認識が速く、操作もシンプルなので、AndroidユーザーやGoogle ドライブメインで使っている場合には有力な選択肢となるだろう。


 Microsoft Lensの提供終了は、より自分に合ったスキャナアプリを見直す良い機会ともいえる。今回扱った4つのアプリはいずれも無料で基本機能が使えるので、まずは実際に試してみるとよい。


 スマホでの書類スキャンは、もはや簡易的な手段ではない。用途に合わせて適切なアプリを選べば、ビジネスでも十分通用する書類管理環境を構築できる。


●著者プロフィール:酒井麻里子(さかい・まりこ)


ITジャーナリスト/ライター。生成AIやXR、メタバースなどの新しいテクノロジーを中心に取材。その他、技術解説やスマホ・ガジェットなどのレビューも。著書に『趣味のChatGPT』(理工図書)、『先読み!IT×ビジネス講座ChatGPT』(共著・インプレス)など。Yahoo!ニュース公式コメンテーター。株式会社ウレルブン代表。XRと最新テクノロジーのWEBマガジン「TechComm-R」運営。



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