「婚姻制度設計、国会に裁量」 同性婚訴訟、2審で初の「合憲」判断

0

2025年11月28日 19:41  毎日新聞

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

毎日新聞

東京高裁の合憲判決を受けて取材に応じる原告ら=東京都千代田区で2025年11月28日午前11時49分、内藤絵美撮影

 同性同士の婚姻を認めていない現行の民法や戸籍法の規定が憲法に反するかが争われた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は28日、「合憲」と判断した。全国5地裁に6件起こされた同種訴訟で、高裁での「合憲」は初めて。これまで2審は「違憲」が5件続いていたが、最後に判断が分かれた。国の賠償責任は6件いずれも否定した。最高裁が今後、統一判断を示す見通し。


 東亜由美裁判長は、婚姻制度をどう設計するかは一次的に国会に裁量が委ねられていることから、「同性婚を認めない法制度が憲法に違反するとまで断じられない」とした。ただし、現在の状況が続けば違憲の問題が生じることは避けられないとも言及した。


 訴訟は札幌、東京(2件)、名古屋、大阪、福岡の各地裁に起こされ、1審段階でも「違憲」2件▽「違憲状態」3件▽「合憲」1件――と判断が分かれていた。現行制度が法の下の平等を定めた憲法14条、婚姻の自由を保障する24条1項、個人の尊厳と両性の平等に基づいた家族法の制定を求める24条2項に違反するかが主な争点だった。


 28日の東京高裁判決は、性的指向などに従った法制度上の取り扱いを受けることは重要な法的利益だが、同性カップルは十分に尊重されているとはいえない状況にあると指摘。ただし、現行の婚姻制度に同性同士の結合関係を含めるかは、その他の夫婦や親子関係の法制度との整合性や妥当性の検討を国会がすることが不可欠だとした。


 その上で、夫婦とその子どもを一つの家族として設計された現行の婚姻制度は現在も合理性があると判断。同性愛者に対する理解が社会的に広まっている状況を考慮しても、婚姻を異性愛者に限った現行の法制度はいずれの憲法の条文にも反しないと結論付けた。【安元久美子】


東京高裁判決 骨子


・同性カップルの法的利益は十分に尊重されているとはいえないが、婚姻制度の設計は一次的に国会に裁量がある


・現在の状況が続けば、違憲の問題が生じることは避けられないが、まずは国会内で審議が尽くされるべきだ


・同性婚を認めない民法や戸籍法の規定は合憲



    ニュース設定