
「存立危機事態になり得る」――。台湾有事の最悪のケースを想定した高市早苗首相の発言で、日中関係の緊張が高まっている。
中国側は高市首相の発言に強い反応を示し、自国民に対して日本への渡航を控えるよう呼びかけるなどの対抗措置を実施。日本のインバウンド産業、さらには在日中国人のビジネスにまで影響を及ぼしかねない事態となっている。
中国の観光客が韓国へ流れ込み
この日中関係悪化の余波を受けているのが、お隣の国・韓国だ。
「どうやら日本への渡航自粛を要請された中国人たちが、韓国へ流れ込んでいるようです。そもそも韓国では、2025年9月29日から中国団体観光客を対象にビザの免除を開始。それを機に、中国人観光客の増加に反対する人たちから“反中デモ”がおこなわれていました。加えて、日本へ渡航できない中国人が韓国へ押し寄せたため、地元住民からさらなる反発を招いています」(全国紙経済部記者)
9月末のビザ免除政策以降、明洞や中華街などで頻発している反中デモ。その背景には、2016年の在韓米軍への「THAAD(終末高高度防衛ミサイル)」配備決定による中国の報復措置がきっかけとしてあるようだ。このとき中国は、K-POPを含む文化・芸能イベントの中止や韓国コスメの輸入停止、韓国への団体旅行の販売禁止などをおこなっている。
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韓国では、この報復措置によって、中国に対して反感を抱く人が増加。そして2024年12月、内乱罪で逮捕された尹錫悦前大統領が主張した「中国陰謀論」が引き金となり、デモへと発展していった。
「現在、韓国では“チャイナ・アウト”などと声をあげながらの反中デモが頻繁に行われています。参加者は日本と中国の今の緊張関係も把握していて、“日本がこんなにうらやましいと思ったことがありません。高市首相が本当によくやっているじゃないですか”と、中国に対して引かない姿勢を見せている高市首相を評価する声も聞かれました」(前出・経済部記者)
嫌中ムードの高まる韓国。台湾人観光客が誤解を避けるため、英語や韓国語で「台湾から来ました」と書かれたバッジを身に着ける様子からも、その勢いが窺えるだろう。
いまだ好転する兆しの見られない日中関係と、その煽りを受けた形となっている韓国。日本国内からは「中国に限った話ではないが、異文化共存がいかに難しいかということだと思う」「韓国の宿泊業などインバウンドに直接関わる人の意見も聞いてみたい」などといった声も上がっている。
今後、日中そして中韓の関係はどうなっていくのだろうか――。
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