
ローソンは11月2日、同社がネーミングライツを取得した京都府南丹市の森林公園「ハピろー!の森 京都」で、ひとり親家庭の親子を招いた初のファミリーキャンプを開催した。全国から社員25人がサポートスタッフとして集まり、参加者は日帰りでバーベキューや森林整備体験、木工クラフトなどさまざまなプログラムを楽しんだ。
●ひとり親家庭を対象に「ファミリーキャンプ」を開催
ローソンは創業50周年を機に「ハッピー・ローソン・プロジェクト!(ハピろー!)」を掲げ、社会貢献や地域活性化につながる取り組みを強化している。
「ハピろー!の森 京都」もその取り組みの一つだ。プロジェクトについてより広く認知してもらえる場所を作れないか検討していた際、京都の店舗オーナーから同森林公園が命名権を募集していると聞き、2024年3月にネーミングライツを取得した。
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加盟店から「未来に残る物が欲しい」といった声が上がっていたことに加え、同公園はキャンプ場や宿泊施設、広場など多様な設備を備え、地域の人々が楽しめる場所でもあった。こうした点が「ハピろー!」の理念に合致し、ネーミングライツ取得の決め手となった。
今回のイベントは、プロジェクトメンバーから「せっかく森のネーミングライツを取得したから、社会貢献に活用できないか」という声が上がったことがきっかけで企画された。
参加したのは京都府母子寡婦福祉連合会、京都市ひとり親家庭福祉連合会を通じて募集した親子20組45人で、5〜17歳までの幅広い年齢の子ども達が集まった。家庭の経済状況などにより学校外の活動の機会に差が生じる「体験格差」の課題解消につなげる狙いだ。
●なぜひとり親家庭を対象に?
ローソンは2017年から「夢を応援基金(ひとり親家庭支援奨学金制度)」を運営し、給付型奨学金を支給してきた。今回のキャンプも、この基金でのつながりを生かして実施したという。
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プロジェクトメンバーの1人は「これまでは、SGDsの推進をしていたけれど、これからはウェルビーイングに変わると考えています。その中で今回のような笑顔があふれるイベントは良い取り組みだと思っています」と話した。
ウェルビーイングとは、人々の心身の健康や幸福を大切にする考え方だ。SDGsに続く新しい目標であり、「SWGs(Sustainable Well-being Goals)」として注目され始めている。
ローソンは、今回のキャンプイベントが森の豊かさの保全や子どもの教育といった社会貢献(SDGs)に加え、参加者同士が絆を深める機会にも役立つと考えているという。さらに、スタッフと参加者が交流することで、社員自身の幸福度や働きがいの向上にもつながるとしている。
●ファミリーキャンプ当日の様子は?
当日、参加者は京都駅に集合し、バスで現地へ移動した。ローソン社員らが到着した親子を出迎え、保護者は「車を持っていないから、バスで移動できてありがたいですね」と笑顔を見せた。
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開会式では、同公園において開園以来クマの出没情報が無いことを社員が説明した。全国的にクマの出没が報じられていることを受けた対応だ。安全確保のためにクマ撃退スプレーも準備したという。
続いて行われた「ローソンクイズ」では「ローソンの看板のマークはミルク缶である。〇か✕か?」「からあげクンはこれまでに100種類以上発売されている。〇か✕か?」といった同社にまつわるクイズを出題。全問正解の子どもたちにはローソングッズが贈られた。
バーベキューでは鯛のアクアパッツァや串焼き、ソーセージ、リゾットなどを用意。各テーブルには社員が1人ずつ付き、調理をサポートするだけでなく、子どもたちと遊んだり会話したりと積極的に関わる姿が目立った。
保護者からは「子どもはキャンプをしたいと言うけれど、準備や後片付けを考えるとなかなか手が出ないからありがたいです」「準備から片付けまでしてくれたから、ゆとりを持って『一緒に焼いてみる?』とか言って、子どもとの時間を過ごせた」といった声が上がった。
子供たちも「バーベキューを本格的にやる機会はあまりないから、めちゃくちゃうれしいです」「リゾットのきのこもおいしい!」と笑顔を見せた。
●「お母さんいつもありがとう」 子ども達からサプライズプレゼントも
午後の森林保護活動「森を守ろう」では、公園内の山林で剪定作業を体験。樹木・環境ネットワーク協会のメンバーが指導し、子ども達は生い茂った枝を切ったり、拾った枝を保護者に見せたり、昆虫を探したりと自然の中での時間を楽しんだ。
ファミリーキャンプ最後のプログラムは、木製コースター作りだ。子ども達だけが木工研修館に集まり、保護者へのサプライズプレゼントとして製作に取り組んだ。薄い円形に切られた木材をやすりで丁寧に整え、表面には「お母さんいつもありがとう」といった感謝のメッセージやイラストを描く。その間、保護者には別室で懇談の時間が設けられた。
閉会式では、子ども達が少し照れた様子で保護者にコースターを手渡し、感謝の思いを伝えた。受け取った保護者は子どもを抱き寄せ、目を潤ませながら「ありがとう、大切にするね」と声をかける姿も見られた。その後、ローソングッズのお土産が配られ、日帰りキャンプは締めくくられた。
●開催に至るまではたくさんの課題も
ファミリーキャンプの開催はローソンにとって初の試みだったため、安全面の確保や運営体制づくりなど多くの課題があったという。
常務執行役員の楯美和子氏は「けが無くできるプログラムは何か? 募集はどうしたらいいのか? 事故があったらどうするのか? アレルギーはどうするのか? など多くの課題があった」と振り返る。
社内で安全対策の議論を重ねるとともに、バーベキューの専門家「ジャパンBBQカレッジ」のメンバーや、森林保護活動をサポートする樹木・環境ネットワーク協会、看護師らの協力を得て運営体制を整えた。
社内でのサポートメンバーの募集には、全国から想定以上の応募が集まり、楯氏は関心の高さに驚いたという。「ローソンは接客業の会社。人に喜んでもらうことが好きなDNAが社員にあるんだと思います」と話す。
なお、今回は全国の社員がボランティア活動に参加しやすくなるよう、イベントへの参加を「業務」として扱ったそうだ。
●地方から参加した社員の声は?
北陸から参加した社員は「ローソンブランドを知っていただく、いい機会だと思い参加しました。北陸だと本社の取り組みに携われる機会が少なく、こうしたイベントも首都圏や関西の社員が中心になりがちなのですが、地方からも手を挙げて行動する流れを作るきっかけになればと思います」と語った。
また、万博に出店したローソン店舗の運営に参加した経験を持つ社員は「万博では普段と異なる業務・異なる社員と関わって、とても有意義で楽しい時間を過ごせました。今回も新しい方々と関わって、新しい学びがあると思い参加しました」と話した。
今後について楯氏は「1年で終わらせるのではなく継続して取り組んでいきたい。社会貢献だけでなく、社員自身がみんなの役に立っていると実感できる機会にもなる」と意気込む。
将来的には泊まりがけのキャンプも検討しており、今回は社員が実際にテントを張って公園に宿泊し、環境や運営の課題などを検証したそうだ。今回のキャンプで見えてきた課題を今後の開催に生かし、より充実した体験を届けていく考えだ。
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