※画像はイメージです大事件ばかりがニュースではない、身近な小さな事件の方が人生を左右することも。注目のテーマを取り上げ大反響を呼んだ仰天ニュースを特別セレクション!(初公開2024年3月15日 記事は取材時の状況) * * *
新入社員たちが入社する4月。就職試験を勝ち抜いた精鋭たちによる第一歩がスタートします。彼らは選ばれるべくして入社した面々ですが、中にはちょっと首をかしげざるを得ない人も。今回は、入社早々オフィスをパニックにさせた女性社員のエピソードです。
◆入社初日から大荷物な新人
「女性新入社員Yさんの行動がどうも気になりまして……」と語るのは、介護施設運営会社で働く総務課長の和田さん(仮名・35歳)。Yさんは入社初日から、毎日大きめの手さげカバンを持って出社していたそうです。
「いつも大切そうにそのカバンを抱き抱えるように出社してきます。他の新人たちは、もっと小さいリュックなどで通勤していて、中には手ぶらもいるほどなんです。この前、彼女を注意しながら観察していると、カバンの中をのぞいて笑みをこぼしていたんです」
そんな、少し変わったYさんの行動が日増しに不可解になってきたという和田さん。とにかく、彼女がカバンの中身をのぞくたびに、気になってしょうがないそうです。
「特に最近では、始業後も中をのぞいているようで、これは仕事にも影響があると思ったので、昼休みに会議室へ呼び、単刀直入に『いつも何でカバンの中のぞいているの?』と尋ねたんです」
◆怪しい行動がますますエスカレート
直球な質問に、最初は驚いた様子だったYさんですが、「あ、あのう、特になにもありません。ただ……」と歯切れの悪い受け答えをしたそうです。和田さんは、取り急ぎ業務に集中するように、釘を刺したと言います。
「彼女の守備範囲は広く、私もパソコンの設定などを時々教えてもらっています。どちらかというと無口で依頼された仕事は黙々と行うタイプですから、彼女の周囲からの評価は高いと思いますよ」
ただ、Yさんの行動は日を追うごとに怪しくなっていきます。大きなカバンは相変わらずですが、それに加え、だぶついた服装が目立つようになりました。
「僕が注意してからは、カバンの中をのぞき込むしぐさはかなり減りました。その代わり、いつもおなかのあたりに手を入れたり撫でたりするようになったんです。おなかが痛いのか、調子が悪いのか……体に関することなので注意もできず、ひとまず静観していました」
◆オフィスに響き渡る突然の悲鳴
とうとう事件が起きてしまいました。Yさんの向かいの席にいた同期社員が、突然、大声で悲鳴を上げたのです。
「何事かと思いました。とにかく悲鳴が聞こえたので様子を見に行ったのですが、なんとそこにはネズミのような小さな動物が走り回っていたんです。その動物は次々に机を渡り歩き、オフィスは悲鳴だらけになりました」
悲鳴が飛び交う中、床にしゃがみこんでネズミらしき動物を必死に捕まえようとしているYさんがそこにはいました。
「実は私もネズミは苦手だったので、逃げ惑うスタッフと一緒にオフィスの外に避難しました。しばらくしてYさんの動きが止まったので、そばまで近寄ると、彼女はそのネズミのような小動物をひたすらなでて、小さな声で『ごめんね、ごめんね』と言っていました」
Yさんは終始うつむいたままで、仕事も手につかない様子だったといいます。周りの同期たちも何もなかったかのように仕事を再開していました。
◆動物の正体と見えてきた課題
和田さんは、騒動が勃発した日の夜にYさんを再び会議室に呼び、今回の件に関してヒアリングを行いました。
「なぜネズミを会社に持参していたのかを尋ねました。どうやら、入社の少し前に友人からハムスターの赤ちゃんを譲り受け、自宅に置き去りにできず、カバンにケージを入れて持参していたというのです。騒動を起こした日は、ケージから出して自分のお腹に巻いた布製の袋で温めていたからだそうです」
Yさんは、今回の件をとても反省しているようで、かなり落ち込んでいました。「入社の際に提示された持ち込み禁止物一覧に該当がなかったからです」とポツリと言っていたそうですが、和田さんのヒアリングが終わった後に辞表を出したそうです。
「持ち込み禁止一覧に記載がなかったからって……常識で考えればおかしいと思うのですが、それはわれわれの考えなのかもしれませんね。早速、社内規定に条文を追加することにします」
<TEXT/八木正規>
【八木正規】
愛犬と暮らすアラサー派遣社員兼業ライターです。趣味は絵を描くことと、愛犬と行く温泉旅行。将来の夢はペットホテル経営