人混みや電車が苦手……急に不安や息苦しさを感じるのは性格のせい? 「広場恐怖症」のサインと対処法

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2025年11月29日 20:50  All About

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【精神科医が解説】人混みで突然不安や息苦しさを感じる場合、「広場恐怖症」の可能性があります。治療の基本はSSRIという薬です。分かりやすく解説します。(※画像:Shutterstock.com)
人混みが苦手な方は珍しくありません。多くの場合は不快でも我慢できるレベルですが、なかには急に不安が押し寄せ、呼吸がうまくできなくなるほど強い症状が現れる人もいます。こうした不安症状が起きると、人混みそのものが怖くなる「広場恐怖」に発展しやすくなります。

広場恐怖症の原因・きっかけは?「最初の1回」が恐怖を固定化する可能性

広場恐怖には、「人混みが苦手だから不安が出る」のか、「不安が出た経験があるから人混みが苦手になる」のか、いわば「卵が先か、ニワトリが先か」に似た問題があります。

一般的には、「人混みで不安症状が出現した経験が、人混みを恐れるきっかけになる」と考えられています。つまり、不安が出なければ恐怖は徐々に薄れ、人混みに入れるようになるということです。

広場恐怖症の治療法……SSRIなどの薬物治療・認知行動療法・頓用薬の注意点

人混みで現れる不安症状の原因は、脳内にあるようです。具体的には、脳内の神経伝達物質の1つである「セロトニン」の機能に何らかの変調が起き、不安のレベルが過度に強まることで、広場恐怖症につながると考えられています。

基本的な治療法は、「選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)」というセロトニンの変調を修復する治療薬です。SSRIには即効性はありませんが、毎日決められた量を3カ月ほど続けていくと、効果がはっきり出てきます。

そのため、効果が感じられないからと1〜2カ月で服薬を止めてはいけません。患者さんに処方するときは「最初の3カ月は効果を感じられなくても、ちゃんと飲み続けてください」と伝えることが多いです。あわせて、認知行動療法などで、考え方の癖を根本的に修正していけるようにサポートします。いずれも焦らずに治していくことが大切です。

広場恐怖症の患者さんで、「仕事で新幹線に乗らなければならない」「何とかして今月コンサートに行きたい」といった切迫した事情がある場合は、SSRI以外の即効性のある頓用薬を併用することもあります。具体的には、ベンゾジアゼピン系抗不安薬です。

しかしこれらの頓用薬は、長期間漫然と使うと依存リスクがあり、注意が必要です。あくまでSSRIが効いてくるまでの補助的な位置付けとして使用し、「お守り」として持っておく程度にしたほうがよいとお願いしています。

人混みでの強い不安感は、性格のせいではありません。医学的にもきちんとした対処法があります。必要なサポートを受けながら、無理のないペースで向き合っていきましょう。

中嶋 泰憲プロフィール

千葉県内の精神病院に勤務する医師。慶応大学医学部卒業後、カリフォルニア大学バークレー校などに留学。留学中に自身も精神的な辛さを感じたことを機に、現代人の心の健康管理の重要性を感じ、精神病院の現場から、毎日の心の健康管理に役立つ情報発信を行っている。
(文:中嶋 泰憲(医師))

このニュースに関するつぶやき

  • 高校の時パニック障害になり広場恐怖もあって教室に入れなかったり体育館の集会が無理だった。20年以上経ちもう治ったけど、あれは「人混みが苦手」とは別次元の症状。
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