
就任から1カ月もたたないうちに苦境に立たされた高市首相
日中関係がにわかに怪しくなってきた。
国会で高市首相が「戦艦の使用など武力行使を伴う台湾有事が発生した場合、存立危機事態に該当」と答弁したことがキッカケだ。
【写真】中国人の居住者も多く、問題も浮上している晴海フラッグ
これに対して中国の大阪総領事が「汚い首を斬る」とSNSで発信。続いて中国政府が日本への渡航自粛や留学再考を促すこととなり、日中関係は時ならぬ緊張状態に至っている。
高市首相の台湾有事に関する国会答弁に反応したとみられる中国駐大阪総領事の薛剣氏のXでの投稿(現在は削除)
ただでさえ、今年は中国政府が「対日戦勝80周年」ということでド派手な軍事パレードを実施。加えて反日的な映画を次々公開することで 日本に対する敵対的なムードを盛り上げてきた。高市首相の国会答弁は、そんなムードの中で「火に油を注ぐ」ことになったかもしれない。
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間もなく南アフリカでG20が開催されるが、日中首脳会談の予定はないとされている。また、日本側SNSの一部では「中国からのインバウンドが消えれば嬉しい」といったコメントも飛び交っているらしい。
日中関係は当面緊張が続きそうな成り行きである。
【外交問題とも密接なマンション相場】
日本における中国人のプレゼンスが薄まる‥この傾向は様々な分野に及ぶと考えるべきだろう。
例えば、私が日頃からウォッチングしているマンション市場。中国人が日本のマンションを買っている‥これはもう20年以上も前から見られた傾向。ところが、ここ5年程度はその動きがかなり顕著になってきた。
東京オリンピックの選手村跡地に開発された「晴海フラッグ」という分譲総戸数4145戸のマンションでは3割程度が外国人に買われた、とNHKなどで報道されている。その外国人のほとんどが中国人だと推測されている。私も時折取材のために晴海フラッグを訪問したが、街中で北京語を耳にする機会は多い。
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中国人の居住者も多く、白タクや民泊問題も浮上している晴海フラッグだが、「渡航自粛」で状況は変わるのか
外国人が、日本のマンションやその他の不動産を購入することの是非についての議論は、最近特に活発化している。その議論の行く末がどうなるかは分からないが、今回のような外交問題が、マンション市場に影響を及ぼす可能性は考えておくべきだ。
つまり、日本のマンションを購入した中国人たちが、今回の日中緊張状態をどう受け止めるか、という問題だ。さらに言えば、日本でマンションを保有する中国人を、本国の共産党政権はどのような眼で見るか、ということもある。
【中国人投資家への売り圧力】
中国では最近、「裸官」に対して厳しい目が向けられている。
裸官とは、家族や資産を海外に移した状態で中国の政府に勤務する官僚のことを指す。彼らは自らの汚職が発覚しそうになるなど、自分に危険が迫るとすぐさま海外に逃亡できる状態にある。
改革開放以来、裸官の海外逃亡により中国国内から流出した資産は、総額7兆円とも言われている。共産党政権からすると由々しき問題である。最近の傾向として、
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・海外留学をしている子弟は、卒業後の速やかな帰国を強制
・海外での金融・不動産などの資産保有を厳しく監視
といった対策が講じられている、という。
当然のことながら「日本でマンションを購入した」というのは、当局から睨まれる原因となる。今回の騒動で、中国人による「日本に移住する」や「日本でマンションを保有」は、当局が推奨する「愛国」とは大きく外れる行為になってしまったのではないか。
すでに中国から日本に移住している場合でも、他人事にはならない。家族や親戚が中国にいる場合は、そちらへ当局の圧力がかかる。
「あなたの息子は日本でマンションを保有しているようだが、その購入資金はどこから得たのか?」
あるいは
「あなたもその内、日本にいる息子のところへ逃げるのではないか?」
今後、日本でマンションなどの不動産を保有する、ということはそういった当局からの圧力にさらされる可能性もあるのだ。
そうでなくても、今の日本は外国人の不動産購入に向ける目が厳しくなった。「日本政府が外国人の不動産所有を制限する、らしい」。現に、高市政権はそのことを検討している旨の報道がある。
この先、高市政権が続く限り、日中関係は緊張が続きそうだ。ここ数年、ブームのように続いた中国人の「日本不動産爆買い」に、逆回転が発生する可能性が出てきたのではないか。
文/榊淳司 写真/首相官邸HP、X.com、photo-ac.com
