「最近カラスが減った?」は気のせいじゃなかった! しかし今度はある「かわいい鳥」が問題に……「鳥害」被害の対策は?

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2025年12月01日 20:30  Fav-Log by ITmedia

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「最近カラスが減った?」は気のせいじゃなかった!

 糞害や悪臭、騒音など、鳥をめぐるトラブルは厄介なものです。一方、鳥獣保護の観点から、鳥たちとうまく付き合っていくことも重要です。

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 今回は、鳥をめぐるトラブルの概要や動向、対策グッズについてまとめました。

●身近な“鳥”による被害

 最近では熊をめぐる被害やトラブルが話題となっていますが、野生動物をめぐるトラブルの中でも、都市部において最も身近なものといえるのが“鳥”による被害ではないでしょうか。

 鳥害は、糞害、景観・美観被害、食害、鳴き声や羽音による騒音、巣作りなど、多岐にわたります。これらは、建物の腐食、病原菌の感染、資産価値の低下といった被害を引き起こし、生活に悪影響を及ぼします。また、家庭菜園や庭木の果樹などにも被害をもたらすので、庭のある一軒家などにとっては、特に気になる問題ではないでしょうか。

 戸建てか集合住宅かを問わず気になるのは、ベランダなどへの糞害ではないでしょうか。筆者の自宅では今のところ実害はありませんが、近所でハトの餌付けをしている人がおり、その家の前の道路がハトの糞で一面真っ白になっています。これが自宅のベランダで起こったらと考えると非常に怖くなります。

 そう考えると、できるところから鳥害対策をしておいて、被害を未然に防ぐように心がけておきたいものです。

●カラスを見かけることは少なくなった?

 以前は鳥害といえば、カラスによるごみ集積所荒らしがよく目につき、実際、筆者が都内在住時に住んでいたマンションでも、カラスがごみ袋の中身を散乱させるというトラブルに悩まされていました。ところが現在ではカラスを見かけること自体がとても少なくなったように感じます。

 調べてみると、東京都は増えすぎたカラスの被害を防ぐため、平成13年度から対策に取り組んでいるとのことです。その結果、令和6年度には都内(約40カ所)の生息数が開始当初に比べ約80%も減少したそうです(参考:生息数等の推移(取組状況) | 東京都環境局)。

 カラスの生息数そのものが大幅に減少しているので、見かけることが減ったのも納得です。また近年では新型コロナウイルスの影響で、餌となる繁華街の生ごみが減ったことも、カラスの減少に拍車をかけているとの見方もあります。

 一方、減少したとはいえ、カラスの脅威が消えてしまったわけではありません。筆者の現在の住居でも、明け方にカラスの鳴き声が聞こえることが多々あります。また、近距離で見かけても、逃げるそぶりを見せないふてぶてしさは相変わらずです。少なくともごみを家の周りに放置しないなど、鳥害予防策は欠かせません。

●カラスが減っても……鳥による被害はまだまだ多い

 カラスが減少傾向にある一方、ハトを見かけることは依然として多く、特にその糞が駅前や住宅街の景観を損ねています。また近年ではムクドリの増加なども報告されており、東京都では、ドバト、ムクドリなどは「有害鳥獣捕獲」の対象となっているほどです。

 意外なところでは、都心においてウミネコによる被害が増加しているという報告もあります(参考:東京都環境局「ウミネコによる被害状況及び対策について」)。湾岸部を中心に生息が確認されており、高層ビルで働く人々やマンション居住者に被害が出ているようです。

 また、ペットとして飼われていた「ワカケホンセイインコ」が、野生化して繁殖し、その被害も広がっているようです。目立った報道はあまり見かけませんが、その害は比較的深刻なもののようです。もともとペットだけあって見た目はかわいらしいですが、餌付けなどをすると糞害などに悩まされる事態になりかねません。

 一方、最も身近な存在ながら、あまり害鳥としての印象がないのがスズメです。スズメは特定の時期には農作物に被害を及ぼす「害鳥」としての一面もありますが、害虫などを食べるため「益鳥」としての側面もあります。なお、とてもかわいらしいので飼いたいと思う人もいるかもしれませんが、残念ながら、野生のスズメを許可なく捕獲することは法律(鳥獣保護管理法)で禁止されているので、注意しましょう。

●対策グッズで鳥害を未然に防ごう

 すぐにできる鳥対策としては、反射材を使った視覚的な威嚇があげられます。不要になったCDやDVD、あるいはアルミホイルなどをベランダの手すりや物干し竿などに取り付ければ、有効な対策となります。

 反射材の設置が景観的に気になるのであれば、忌避剤なども手軽にできる鳥対策の一つです。忌避剤には、スプレー、固形、ジェルといったものがあるので、好みや状況に応じて選ぶことができます。

 また、物理的な対策グッズとして、スパイクやワイヤー、ネットなどの設置も効果的です。こちらもベランダの手すりなどに設置して、鳥の侵入や滞在を防止できます。音を使った対策も有効です。最近では、超音波を使用した撃退器なども販売されており、鳥以外に、猫などの接近も防げるようです。

 なお、多くの市町村では農林課や生活安全課に害獣駆除の窓口が設置されており、害獣対策の相談ができます。ただし、駆除そのものに関しては、自治体の管轄ではないので、基本的には自身で対策するか、業者を紹介してもらって、そちらに依頼することになります。

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