
Q. 解熱剤は「早く飲むと逆効果」って本当ですか? 飲まずに我慢すべきでしょうか
Q. 「熱が出たとき、早めに解熱剤を飲んでいいのか、いつも迷います。『早く飲むと逆効果』『しっかり熱が出た方が治りが早い』と言われることがありますが、本当ですか? なるべく我慢して、飲まないようにした方がいいのでしょうか?」A. 熱の高さだけにとらわれず、つらさにあわせて適切なタイミングで活用しましょう
発熱は体がウイルスや細菌と戦っているサインであり、熱そのものは病気ではありません。無理に熱を下げると、体の免疫反応が十分に働く前に症状を抑えてしまいます。そのため、熱だけを抑えることで回復が遅くなる可能性は、確かにあります。しかし、「解熱剤は飲まない方がいい」「高熱でも我慢した方が治りが早い」というのも、正確ではありません。高熱で頭痛や関節の痛みがひどい、眠れない、水分が取れないといった症状がある場合は、体力を消耗してしまい、結果的に回復が遅くなってしまうことがあります。
その場合は解熱剤でつらさを和らげて体力を保てた方が、早い回復が期待できます。
「とてもつらいけど、まだ37度台だから解熱剤は飲まずに我慢しよう」「計ってみたら38度を超えていたから、きつくはないけど解熱剤を使おう」と、熱の高さだけを目安にする人も珍しくありませんが、大切なのは「数値」ではありません。
自分自身の「つらさ」や「体力的な消耗」「日常生活への支障」を基準にすることです。体の状態をよく観察して、必要と感じたタイミングで適切に使うことが大切です。
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阿部 和穂プロフィール
薬学博士・大学薬学部教授。東京大学薬学部卒業後、同大学院薬学系研究科修士課程修了。東京大学薬学部助手、米国ソーク研究所博士研究員等を経て、現在は武蔵野大学薬学部教授として教鞭をとる。専門である脳科学・医薬分野に関し、新聞・雑誌への寄稿、生涯学習講座や市民大学での講演などを通じ、幅広く情報発信を行っている。(文:阿部 和穂(脳科学者・医薬研究者))
