
「今、イスラム教を信じるムスリムの方から土葬墓地を整備してほしいという要望が上がっています。本日は我が国、今以上の土葬墓地は不要であるという主張と共に質問させていただきます」
11月27日の参院厚生労働委員会でこう述べたのは、参政党の梅村みずほ議員(47)。このところ、外国人政策の話題に絡んで、SNSでは一部で宗教上の理由に配慮した土葬を法律で禁じるべきとの主張が見られており、梅村氏もこの問題に切り込んだ。
委員会に出席した厚労省の健康・生活衛生局長によると、令和6年度の火葬の割合は99.98パーセントだという。梅村氏は、日本において火葬が一般的になった背景には「感染症蔓延など色々な歴史があったと思う」としながら、「日本は湿度が高く、国土が狭い国。しかも日本を襲う災害は毎年激甚化、頻発化している現状にあります。土砂災害や地面の陥没、津波、液状化など、災害は墓地だけでなくあらゆる土地にダメージを与えます。もし日本で土葬が広がっていけば、大災害が起こった時に、ご遺体が露出するかもしれない事態も考えられるのではないかと思います」と指摘。
その上で、「公衆衛生上、より一層の土葬規制制裁さえ必要ではないか」と上野賢一郎厚労相(60)に見解を求めると、上野氏は「墓地整理は国民的感情に適合し、公衆衛生と公共の福祉の見地から支障なく行われることを目的にしています。これまで埋葬による周辺環境の影響により、公衆衛生上の問題が生じているとは把握しておりません。各自治体にて必要な規制が行われていると考えます」と答弁した。
梅村氏はその後も、一部の外国人が土葬への配慮を求める一方、住民からは不安の声も上がる中、地方自治体が板挟みになっているという現状を指摘し、人的リソース、財政面の余裕もないことから「むしろ土葬を原則禁止してはいかがかと」と主張。上野氏は、地域ごとに規制が講じられている以上、禁止する考えはないとするのだが、梅村氏は「地方の裁量によって、この先どれだけ土葬墓地が拡大しても問題ないと国は考えているのでしょうか」と重ねて懸念を表明した。
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さらに、梅村氏は自身の主張の根拠として、’13年に宮内庁が発表した「今後の陵と葬儀のあり方」を引き合いに出し、「当時の天皇皇后両陛下のご葬儀の在り方について、御陵の簡素化という観点も含めて火葬によって行うことが望ましいという両陛下のご意向を示されているものです。これは天皇皇后両陛下の、どのようなお気持ちによるものなのか」と迫った。
これに対し、宮内庁の担当者は、「御陵用地の制約の元、火葬の場合は御陵の規模や形式をより弾力的に検討できるということ。今の社会ではすでに火葬が一般化していること、歴史的にも天皇皇后の葬送が土葬、火葬のどちらからも行われてきたことからのお気持ちでございます」と述べた。
この答弁を引き出した梅村氏は、「今お答えいただいた通り、火葬が一般化していること、簡素に、あるいは人々の負担を軽減するというお気持ちが記されています。お配りしたペーパー(配布資料)をご覧いただくと、ご在位の折の上皇皇后両陛下の国民への深い寄り添い、深いお気持ちに触れることができます」とコメント。
その上で、「国民生活や環境への影響に留意する必要があると記されています。土葬を拡大させることは、こうした陛下のお気持ちとは逆の発想ではないかと考えますし、国民感情を鑑みても、日本国としても決してあってはならない考えだと思っておりますが、いかがでしょうか」と指摘。
上野氏は、「天皇皇后両陛下の当時のお気持ちは、私も承知をしております」と返すのだが、梅村氏はこう強く訴えた。
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「承知しているかどうかを聞いているんじゃないんです。上皇皇后両陛下が、ご在位の時、これほどまでに国民のこと、我が国のことを考えてくださっていることをお示しになられているのに、私たちは押しの強い意見を諾々と飲んでいかなくてはいけないのですか?我が国の国民にも、叶うのであれば土に帰りたい、日本の土に帰りたいと土葬を望む人もいると思います。けれど、私たちは和を以て貴しとしますので、公衆衛生も重んじますので、火葬を選んでいる実態があるのではないでしょうか?」
ここで、梅村氏による土葬に関する質疑は終了。土葬墓地整備をめぐっては、宮城県の村井嘉浩知事(65)が昨年に検討を表明し、9月に県民の不安の声を受けて「白紙撤回」としたものの、10月の知事選で再び争点として浮上し、SNSでは「村井氏が土葬整備を再び進める可能性がある」といった根拠に欠く投稿が拡散されるなど、大きな関心が寄せられた問題であることは間違いない。
そのため、梅村氏の質疑を評価する声が、Xでは支持者を中心に上がった。ただ、主張を補強する“材料”として、政治的機能を持たない日本の“象徴”として憲法で位置づけられている天皇陛下のご意向を例に出したことをめぐって、一部では梅村氏に対する批判的な声も上がっている。
《「天皇の政治利用」という言葉しか出てこない。禁じ手ですね》
《「陛下のお気持ち」を持ち出して政策を“正しい/間違い”に裁断するのは非常に危うい。憲法は天皇を政治の外側(国政権能なし)に置いて、象徴の中立を守る設計になっている。「天皇の政治利用」と言われても仕方がない発言》
《天皇を政治利用するのは政治家として最低の行為ですよ。天皇は日本国の象徴であって、特定政党の主張を権威付ける道具ではありません》
《象徴天皇制とは、天皇がなんらの権威を持たないと言うこと。だから、火葬や土葬について天皇がどう考えていようが全く関係ない。天皇が火葬を受け入れているから土葬を増やすな、は、完全に天皇の政治利用》
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