ロレアルが選んだスタートアップはこの2社──革新を生む「Big Bangプロジェクト」

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2025年12月02日 17:50  マイナビニュース

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日本ロレアル株式会社は11月27日、オープンイノベーションプログラム「ロレアル Big Bang ビューティーテック イノベーション 日本選考 2025」(「Big Bangプロジェクト」)の結果報告会を実施した。



「Big Bangプロジェクト」は、革新的な美の製品と体験の共創・共同開発を目指す、ロレアルのオープンイノベーションプロジェクトで、2020年から中国でパイロットプロジェクトを開始。これまで2240社が参加し、60以上の提案が実用化に向けて推進されている。日本でも2023年から開始され、2025年には日本最大級のオープンイノベーションハブ「STATION Ai」と協働し、ビューティー業界の未来を共に切り開く企業の発掘を行っている。



そして、2025年には、世界各国のスタートアップ企業や中小企業から過去最多となる700社を超える応募が寄せられ、日本からはMatlantis株式会社が「リサーチ&イノベーション部門」、株式会社ZEALSが「マーケティングイノベーション部門」の2社が選出。上海で行われた展示会「中国国際輸入博覧会(CIIE)」でロレアルと共同出展も果たしている。



同日は、選出された日本企業の担当者が、「Big Bangプロジェクト」に参加したことの感想などが語られた。

○スタートアップ企業がもたらす経済効果


最初に経済産業省 イノベーション・環境局 局長の菊川人吾氏がゲストとして登壇した。菊川氏は、大手企業からスタートアップ企業に転職する人が少なくない現状に触れ、「実は若い人たちばかりではなく、40代以上の方がスタートアップ企業に流れている」「日本の名目GDPは600兆円を超えましたが、そのうちスタートアップ企業が生み出しているのは直接効果で言うと12.29兆円ですから、(全体の)2%ですね。日本の付加価値がスタートアップ企業によって生み出されていて、日本の経済効果が変わってきています」とスタートアップ企業が盛り上がりを見せている現状を説明する。続けて、「グローバル企業のロレアルさんがスタートアップ企業に注目し、世界につなげていただけていることについて、日本政府の一員として非常に期待しています」と述べた。


次に日本ロレアル株式会社 デジタル戦略統括本部 本部長の上久保学氏が登壇。「2010年、2020年、2030年と時代の移り変わりとともに、お客様が情報に触れるタッチポイントは増え、お客様が辿る情報のジャーニーが複雑化してきています」「お客様が必要としている情報を必要なタイミングで見せていくことが重要と考え、パーソナライゼーションを進めていくことが、プロダクトの面だけではなく、お客様にリーチしていく面でも重要になってくる」と同社がオープンイノベーションに注力している理由を説明した。

○フラットな立場で意見をもらえる


「リサーチ&イノベーション部門」に選出されたMatlantis株式会社で海外営業部長を務める松島亮氏は冒頭、「材料開発向けのAI駆動型のシミュレーションサービスとお考えいただければと思います」と自社について説明。続けて、材料特性を量子力学の精度で予測でき、DFT(従来の計算手法)と比較しても最大2000万倍の早さで結果を提供できるなど、同社が手がけるシチュエーションクラウドプラットフォームの魅力を解説する。



また、今回「Big Bangプロジェクト」に参加した理由として、「(化粧品の世界に)我々としてはお客さんがいない領域でもあり、“これから改革していきたいビジネス領域”ということでコラボレーションさせていただきました」「あとは、海外展開は当社にとっての命題であり、世界が注目する展示会で弊社のプレゼンした商品を紹介していただくことは非常に有用だと考えました」と語った。


「マーケティングイノベーション部門」に選出された株式会社ZEALSで執行役員を務める渡邉大介氏は、まず「AIエージェントを用いて『日本ならではの接客をウェブに搭載していこう』というところを目指している会社になります」と話す。



また、同社がリリースした「おもてなし」をコンセプトにしたマルチモーダル接客AIエージェント「Omakase.ai」を紹介。「これまでのウェブチャットはフォーマットがテキストで、かつ利用用途がカスタマーサポート寄りのものが多かった。(『Omakase.ai』は)テキストと音声、両方のフォーマットに対応しながら、単純なカスタマーサポートだけではなく製品の販売支援にも使っていただける、オールインワンのプロダクトだと思っています」と語気を強める。



そして、「一次審査、二次審査を受けた際にフィードバックをいただき、“顧客とソリューション提供者”といういつものビジネスの関係性ではなく、『フラットに議論できた』というのは我々としては意義深いものになりました」と「Big Bangプロジェクト」に参加した感想を述べ、「日本から“おもてなし”を世界へ届けていけるように、このプログラムを実現していきたいと思っています」と日本代表に選出された責任と展望を語った。(望月悠木)

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