財政制度等審議会の十倉雅和会長(中央左)から建議を受け取る片山さつき財務相(同右)=2日、東京都千代田区(財務省提供) 財政制度等審議会(財務相の諮問機関)は2日、2026年度予算編成に向けた建議(意見書)をまとめた。「強い経済」を掲げる高市政権が大規模な財政出動を志向する中、財政健全化の指標となる基礎的財政収支(プライマリーバランス、PB)の状況をしっかりと確認・検証し、毎年度の財政運営に臨むよう提言。市場からの信認を確実なものとするため、「細心の注意」を求めた。
PBは社会保障や公共事業などの政策経費について、借金に頼らず、税収などでどの程度賄えているかを示す。石破前政権は「25〜26年度の可能な限り早期のPB黒字化」を目標に掲げていた。
これに対し、高市早苗首相はPBの単年度黒字化目標を見直し、「数年単位でバランスを確認する」方針への転換を明言。財政出動を通じて経済成長と税収増を実現し、債務残高対GDP比を引き下げ、財政への信認を確保する方針を示した。
こうした状況下で編成された高市政権で初となる25年度補正予算案は、一般会計歳出が18.3兆円とコロナ禍後で最大に膨らんだ。建議は、有事に対応するための財政余力を確保するためにも、補正予算を含めた歳出構造の「平時化」を進めるよう求めた。
財政審財政制度分科会の増田寛也会長代理は記者会見で、「債務残高対GDP比を安定的に引き下げるためにもPBを黒字化させることは必要だ」と述べた。

記者会見する財政制度等審議会財政制度分科会の増田寛也会長代理=2日午前、財務省