米航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」が撮影した小惑星「ベンヌ」(NASA提供) 米航空宇宙局(NASA)の探査機「オシリス・レックス」が小惑星「ベンヌ」から持ち帰った砂から、リボ核酸(RNA)を構成するリボースなど6種類の糖を発見したと、北海道大、東北大、九州大などの研究者が参加する国際研究チームが2日、英科学誌ネイチャー・ジオサイエンスに発表した。
ベンヌや、探査機「はやぶさ2」が持ち帰った小惑星「りゅうぐう」の試料からは、たんぱく質をつくるアミノ酸のほか、DNAやRNAを構成する5種類の核酸塩基全てとリン酸が見つかっている。今回の発見で、RNAを構成するすべての分子が地球外に存在することが確認され、地球の「生命のもと」が宇宙から飛来したとする説を補強する形となった。
東北大の古川善博准教授らは、ベンヌの砂約0.6グラムを詳しく分析。リボースのほか、地球上の多くの生命がエネルギー源に用いるグルコースや、ガラクトースなど、計6種の糖を検出した。これらは、太陽系誕生から間もなく生まれたベンヌの母天体内での反応で合成され、現在まで保持されていた可能性が高いという。
ベンヌはりゅうぐうと同様、地球―火星間の軌道を公転する小惑星。炭素や水、有機物を多く含み、こうした小惑星が生命の材料となる有機物を太古の地球にもたらした可能性が指摘されている。
古川准教授は「これがそのまま生命になったかは分からないが、RNAの材料が宇宙にあると分かったことに意義がある」と指摘。「太古の地球には(宇宙から)これらの糖が降り注いでいたことになる」と話した。
オシリス・レックスは「米国版はやぶさ」計画として打ち上げられ、2020年にベンヌから砂などを採取。23年9月に試料を納めたカプセルを地球に投下した。

RNAを構成するリボースなど6種類の糖が検出された小惑星「ベンヌ」の砂が入った容器(右)(東北大・古川善博准教授提供)

小惑星「ベンヌ」の模型と、ベンヌの砂から見つかったリボースの分子模型を持つ東北大の古川善博准教授=1日、東京都千代田区