
イラストを描くためのタブレットが欲しい人にとって、2025年夏にワコムが発売した「Wacom MovinkPad 11」のコストパフォーマンスの高さは魅力的に思えるでしょう。
一方、同社は秋に、より上位の「Wacom MovinkPad Pro 14」も発売しており、「どちらを買うべきなのか」と迷う人もいるかもしれません。ここでは、両タブレットの概要や特徴を改めておさらい。比較検討するときのポイントを整理します。
●Wacom MovinkPad 11は入門者向け
2025年7月に発売された「Wacom MovinkPad 11」は、OSにAndroid 14を搭載した11.45インチのAndroidタブレットです。製品名に「Pro」が付いてないことからも分かる通り、こちらは公式ワコムストアでの価格が6万9080円(税込、以下同)という入門者向けモデルです。
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同機には充電不要で使えるスタイラスペン「Wacom Pro Pen 3」が同梱されており、イラスト制作に使えるソフト「Clip Studio Paint Debut」のライセンスが2年分付いてくるなど、イラスト制作に必要な環境がサッとそろいます。
7万円弱の予算でイラスト制作のための最低限の環境を用意でき、コストパフォーマンスの高さを感じさせる一台です。これから絵の練習を本格的に始めたかったり、外出時のデッサン用途で使いたかったりする場合には最適な候補となるでしょう。
ただし、11インチの画面は、ツールのUIが複雑なイラスト作成アプリを表示するうえで若干手狭な印象も……。頭脳であるSoC(システムオンチップ)もミッドレンジのMediaTek Helio G99なので、処理性能はそれなり。レイヤー数が膨大な作品を仕上げたかったり、3Dモデルを多用したりと、重めのワークフローを想定している場合には、上位モデルとよく比較検討する必要があるでしょう。
●Wacom MovinkPad Pro 14は中上級者向け
一方、同年11月に発売された「Wacom MovinkPad Pro 14」は、よりデジタルなイラスト制作に慣れた人向けの選択肢です。同梱されるスタイラスペンは同じく「Wacom Pro Pen 3」。価格は14万4980円で、上述した入門機の2倍強になりますがその分、仕様が充実しています。
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例えば、同機はディスプレイサイズが14インチと大きいだけでなく、色域がDCI-P3とsRGBを100%カバーしたうえで、リフレッシュレートも最大120Hzに対応しており、クリエイティブな作業をより精密に行うことができます。
また、反射防止、アンチグレア、指紋防止のコーティングを組み合わせた「Wacom Premium Textured Glass(ワコム プレミアム テクスチャード ガラス)」 を採用し、描画の際の視差(ペン先の位置と線が描かれる場所のズレ)も抑制。これはイラスト制作を想定するならば、かなりうれしいポイントです。
同製品も「CLIP STUDIO PAINT DEBUT」のライセンスが1年分付いてきますが、さらにより本格的な制作が可能な「CLIP STUDIO PAINT EX」のライセンスも3カ月分バンドルされており、さらに同ライセンスを使用後に月額利用プランを申し込むと追加で最大3カ月間無料で使用が可能。つまり、最大6カ月無料でCLIP STUDIO PAINT EXを使える点も魅力的です。
処理性能に関しては、SoCにハイエンド向けのSnapdragon 8s Gen 3を搭載しているほか、メモリも12GBと余裕を持った構成であり、ストレージも256GBでさらにmicroSDカードでの拡張が可能です。そのため、イラスト制作はもちろん、3Dモデルの使用や、アニメーションの制作など、より負荷の高いワークフローにも手を伸ばしやすいのがメリットだと言えるでしょう。
そのほか、対応するパソコンと接続して液晶ペンタブレットとして使える「Instant Pen Display」機能をサポートしている点も、中〜上級者向けのポイントとして押さえておきたいところです。
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●仕様の比較・まとめ
まとめると、「Wacom MovinkPad 11」は、イラスト制作の入門者や、タブレット上でのカジュアルなデッサン・クロッキーなどの練習に使いたい人向けの端末です。
一方、「Wacom MovinkPad Pro 14」は、価格は倍になるものの、中〜上級者のニーズにも対応できる画面の広さや処理性能を備えたモデル。さらに、アニメーションや3Dモデリングのような用途にまで手を伸ばすこともできます。
主要な仕様を表組みでまとめたので、両機の比較検討の際に、役立てていただければ幸いです。
