安倍晋三元首相銃撃事件の公判で、山上徹也被告の本人質問の主なやりとりは次の通り。
【検察官からの質問】
―安倍氏を銃撃する前日未明、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)関連施設が入るビルに手製銃を発射したのはなぜか。
教団に怒りを感じていると示すため。一般社会では、安倍氏と教団との関係性が深いとは思われていない。示しておかないと理解されないと思ったから。
―岡山市の演説会場で襲撃できなかった理由は。
手荷物検査があると思い、会場の裏手にいたが銃撃の機会がなかった。
―岡山市からの帰りに自民党のHPで翌日の演説予定を知ったのか。
はい。まさか自分が銃撃に失敗した翌日に来るとは思いもせず、偶然とは思えない気がした。
―事件当日、演説場所に安倍氏が来たのを見てどう思ったか。
本当に来たんだなと思った。
―どのタイミングで近づいたか。
撃つなら後方からと思っていたが、後ろに警備員がいたのでどうしたものかと思った。このまま演説が終わってしまうのではないかと思っていたら、警備員が移動し、偶然とは思えない何かを感じた。今かと思って車道に出た。
―どこを狙ったか。
安倍氏の上半身だったと思う。
―1発目が当たったと思ったか。
分からなかった。非常に大きな銃声がしたが、いつもと変わらない様子だと思い、奇妙に思った。
―2発目を撃ち、取り押さえられた時に「当たったか」と発言したのはなぜか。
どういう状況か確認する間もなく取り押さえられたので、状況の確認をしたかったのだと思う。
―撃った時の気持ちは。
射撃の心得はなるべく無心で撃つこと。何も考えないようにしていた。
【裁判所からの質問】
―教団関連団体への動画から、殺人につながる心情の変化は。
安倍氏と教団との関係が公的に認められていくのは受け入れがたい。頭の片隅に引っ掛かり続け、嫌悪感や敵意が徐々に強まった。
―事件後に教団を巡るいろいろな動きがあったが、被告の目的は達成したのか。
非常にいろいろな問題があると思うので…お答えできかねる。
―事件の目的は何だったか。
別の機会に答えさせてもらえれば。
―教団への怒りや恨みが母親に向かうことはなかったか。
向くことはあったが、母の行動は教団の教義に従ったものなので。
―国内の旧統一教会関係者を狙うことは考えなかったのか。
日本の幹部を襲撃しても解決にはならない。
―解決とは。
教団への献金や家族の争いごとをなくすこと。
―安倍氏以外の政治家は対象にならなかったのか。
旧統一教会と政治の関わりの中心にいると思っていたので、安倍氏以外の政治家では意味が弱いと思った。
―殺人を思いとどまることはなかったのか。
銃を作るのに時間をかけていたし、経済的に行き詰まる可能性があった。
―旧統一教会の幹部を殺害すると、献金や家族の問題が解決するのか。
直接的にはしないが、そうなってくれればということ。