
「愛子さまはご成年に際しての記者会見で、『小さい頃から人見知りのところがございます』と述べられたことがありました。しかしラオスでは、初めてお会いになった人々ともスムーズにコミュニケーションをとられていて、あらためて著しいご成長を感じずにはいられませんでした」
こう話すのは、長年皇室番組に携わる放送作家・つげのり子さん。11月17日から22日まで、初の外国公式訪問として東南アジアのラオスを訪問されていた愛子さまだが、華やかな民族衣装をお召しになって行事に臨まれたり、両手を合わせるラオス式の挨拶を各所でなされたりと、終始柔らかで和やかな雰囲気により、両国の友好親善はより深まった。
そして愛子さまは、12月1日に24歳のお誕生日を迎えられた。公表されたご近影では、ラオスにちなむ本を手にされている。宮内庁関係者はこう明かす。
「ラオスの料理に関する書籍をお持ちになっているカットもありますが、撮影されたのはご訪問前。訪問に先立つご準備に、愛子さまは常時アンテナを広げて、ありとあらゆる情報をインプットされていました。現地でも、パーニー国家副主席主催の晩餐会でのお言葉の原稿を、式典直前まで推敲される念の入れようだったのです。
ご出発直前には、侍従職幹部が担当記者らに、“緊張されていると拝察するので、皆さんもプレッシャーをなるべく与えないようにしてほしい”と発言していたほど。しかし現地での愛子さまは、緊張やお疲れをまったく見せられず、驚かされるばかりでした」
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入念なご準備は、すべて現地の人々との交流を充実させるためだったのだろう。長く“最貧国”と呼ばれてきたラオスは、60年前、国際協力機構(JICA)が初めて青年海外協力隊を派遣したこともあり、日本との結びつきも古い。現在もさまざまな分野の支援で活躍する日本人がおり、愛子さまは21日、そうした人々と懇談されている。
その一人が、ラオスで教育支援活動を続ける冨永幸子さん(81)だ。冨永さんは、職業訓練や学校建設といった支援を続ける国際NGO「IV‐JAPAN」の代表を務め、30年以上同国で暮らし、活動を続けてきた。さらに1968年に上皇ご夫妻と、2012年にはラオスを公式訪問された天皇陛下と懇談した経験もある。冨永さんに話を聞いた。
「私自身年齢を重ねたこともあり、当初は愛子さまとお会いするのをご遠慮しようと思ったのです。しかし、上皇ご夫妻、天皇陛下と愛子さまという三代にわたって皇室の方々にお会いできる機会はもう来ないだろうと感じ、懇談させていただくことにしました。
実際に愛子さまにお会いすると、天皇陛下のように本当に親しみやすく気さくで、しかもとても勤勉な方だと感じました」
■ラオスを魅了した勤勉さと優しさ
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愛子さまがラオスの民族衣装をお召しになっていたことには、冨永さんも心を動かされたという。
「私は縫製の職業訓練に関わってきましたので、愛子さまがご訪問中2度もラオスの民族衣装を着てくださったことに感動しました。
スア(ブラウス)、シン(スカート)、パービアン(肩掛け)という伝統的な衣装をお召しになったお心遣いで、ラオスの人々も愛子さまの魅力の虜になったと思います。近年、ラオス社会は中国の影響がものすごくて、街中では中国語をよく見かけます。
愛子さまのご訪問は国内でも大変な注目を集めましたし、ご訪問を機に日本文化の人気も爆発するように高まっていくでしょうね」
ご訪問を機に、ラオスで“日本ブーム”を巻き起こされた愛子さま。皇室の一員として、立場の弱い人々に寄り添うご姿勢を鮮明にされた一幕もあった。古都・ルアンパバーンで、「ラオ・フレンズ小児病院」を視察されたときのことだ。同院は認定NPO法人「フレンズ・ウィズアウト・ア・ボーダーJAPAN」が設立・運営している。代表で看護師の赤尾和美さん(62)はこう振り返る。
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「病院のマスコットであるゾウの『ジャイディ』を、愛子さまにお贈りしています。ラオス語で“ジャイ”は心、“ディ”は優しいという意味です。そんなスタッフを育て、医療を提供できる病院を作るという、当院が目指す理想の象徴であると愛子さまにお伝えすると、『そんな意味があるのですね!』とおっしゃっていました。
愛子さまはしばらくジャイディをお持ちになったまま、院内をご覧になっていました。スタッフ全員が緊張してお迎えしましたが、その優しいお人柄でホッとした心地がします。短い時間でしたが、ラオスの小児医療の現場で起きている現実に興味を持ってくださり、またラオ・フレンズ小児病院が目指すことに深くご理解いただけたように感じています」
■自治体任せにしない先進的な被災者支援
5泊6日という強行軍もあり、ご帰国後はお疲れのご様子も見受けられ、天皇陛下や雅子さま、側近たちも心配していたが……。
「当初は出席が難しいと側近らは考えていた11月25日のデフリンピックの水泳競技のご観戦もご一家で臨み、27日には映画『ペリリュー ―楽園のゲルニカ―』のチャリティ上映会にもお出ましになりました。帰国後に立て続けに公務に臨まれる愛子さまのエネルギーは、想像できないレベルです。
すでに次の外国ご訪問に向けた構想も練られていると聞いています。2026年に日本との関係で節目を迎える国に、シンガポール、ベルギー、モロッコなどがあります。じつは愛子さまのご訪問が有力な候補国として、外交関係樹立160年となるイタリアが挙がっているのです」(前出・宮内庁関係者)
来年1月にはメローニ首相の来日が調整されているというが、なぜイタリアが候補となっているのだろうか。欧州事情に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんは、次のような背景を指摘する。
「噴火で滅んだ古代ローマの都市・ポンペイが有名ですが、イタリアは火山の噴火や地震、水害など災害が多いのです。こうした事情から、災害発生時に自治体任せにせず、国が全面的に被災者支援にあたる市民保護局という機関がある、防災先進国でもあります。
質の高い食事の提供や避難所の設置、ボランティアの動員といった支援がスピーディに展開できるシステムになっていて、日本が学ぶべきことが多いと思います。
愛子さまは日本赤十字社で災害ボランティアに関連したお仕事に携わり、またご公務として9月には防災推進国民大会に臨まれています。イタリアの防災に対する取り組みに、高い関心を寄せていらっしゃるのではないでしょうか」
災害で傷つく人々を減らし、救いたい……愛子さまはその思いを抱きながら、被災地へも旅立とうとお考えだと、前出の宮内庁関係者は語る。
「2026年は東日本大震災から15年、熊本地震から10年の節目です。ともに最大震度7を記録し、数多くの被災者を生み、犠牲者を出しました。いま宮内庁では岩手、宮城、福島の東北3県を春に、熊本県を秋に両陛下が訪問される方向で調整が進められています。
どちらも復興状況の視察や犠牲者の慰霊、被災の記録を次世代に伝える施設や当事者との交流が軸になるようです。こうした分野をライフワークとされようとしている愛子さまも、ご同行を強く望まれていると伺っています」
学び、そして行動する……成長し続ける愛子さまの歩みは、これからも決して止まらない。
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