画像提供:マイナビニュース道でつまずいたり、動作が遅くなったと感じることはありませんか? 実はそれ、筋力の低下だけでなく「脳の老化」が原因です。この記事では、脳の老化について研究してきた遠藤英俊氏が人生100年時代を元気に楽しむための方法を解説した『こうして脳は老いていく』(著者: 遠藤英俊/アスコム)から一部を抜粋して紹介します。
今回のテーマは『年を取っても何かひとつ続けられるものを見つける』。
○年を取っても何かひとつ続けられるものを見つける
好きなことを続けることも、予備脳強化にとても効果的です。
というのは、脳に負荷をかけ続けられるからです。
久山町研究(九州大学)によると、趣味を持っている人のほうが認知症になりにくいという報告があります。その研究によると、複数の趣味を持っている人ほど発症率が低かったといいます。
フィンランドのFINGER研究では、認知症予防の要素のひとつである「社会活動の継続」を支えるのは趣味だと結論付けています。
あなたは、葛飾北斎という江戸時代の絵師をご存じですか。彼は、貧しくても、病気になっても、90歳まで絵を描き続けました。しかも、70歳までの作品は「たいしたことはない」と言って、80歳を過ぎても「もっとすごい絵を描きたい」と挑戦を続けた人です。絵を描くのが仕事だからといっても、普通はそこまでできません。心底、絵が好きだったのでしょう。
そして晩年に描いた『富嶽百景』という代表作は、とても晩年とは思えないほど新しいアイデアにあふれていました。昔は認知症という言葉はありませんでしたが、彼の作品を見ると、脳が元気だったのがよくわかります。
北斎のように好きなことを追い続けるのは、脳をいつまでも元気に保つ方法なのでしょう。
私の患者さんの中には、年だからという理由でそれまで続けてきたことを止める人がいますが、とても残念に思います。
編み物でも陶芸でも、ゴルフでも、音楽でも、なんでもかまいません。好きなことなら続けてください。それが、あなたの脳を守ることになります。
ちなみに、私のおすすめの趣味は社交ダンスです。
2003年のアルバート・アインシュタイン医科大学の研究では、75歳以上の高齢者を5年間調べた結果、社交ダンスが認知症のリスクを大きく下げることがわかりました。日本の国立長寿医療研究センターでも、社交ダンスをすると認知機能がよくなったという結果が出ています。
初心者には少しハードルが高い趣味かもしれませんが、興味がある方はぜひチャレンジしてみてください。
○『こうして脳は老いていく』(著者: 遠藤英俊/アスコム)
人生100年時代を楽しく過ごすためには、脳の衰えた機能をカバーしてくれる「予備脳」を強くする必要があります。この予備脳を強くすれば、認知症だけでなく、寝たきりも予防できるのです。そして、予備脳は90歳を過ぎても強くできます。本書では「今日からすぐ始められる、脳を刺激する工夫」「予備脳を強くするトレーニング」「脳を老化から守る食事や食品」を紹介しています。()