
企業の公式キャラといえば? マクドナルドの「ドナルド・マクドナルド」、ドン・キホーテの「ドンペン」などを思い浮かべる人が多いかもしれないが、100円ショップ「ダイソー」(運営:大創産業)からも新たに登場した。
その名は「だいぞう」。象をモチーフにした、丸みのあるやさしい形が特徴だ。鼻としっぽには企業ロゴ「スリーアローズ」を取り入れ、DAISOの「D」をかたどったポシェットを身に着けている。出身地は同社の創業地である広島で、誕生日は法人設立日の12月5日。海外展開を強化することもあって「最近、英語の勉強を始めた」そうだ。
同社が産声を上げたのは1972年。今年で53年目を迎えるこのタイミングで、なぜ公式キャラを発表したのか。その背景などについて、「だいぞう」の事務局を担当している岩橋理恵さんに話を聞いた。
●従業員からデザインを募集
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――ダイソーのブランドカラーであるピンクをまとった象のキャラクターが、2025年9月に誕生しました。なぜ、このタイミングだったのでしょうか?
岩橋: 2025年2月時点で、ダイソーの店舗数は国内3893店、海外1006店に達しました。グローバルに店舗を広げる中で、国内外の従業員が同じビジョンを共有するにはどうすればよいのか。ブランドの魅力をより伝えるには、象徴となるアイコンが必要ではないか。こうした課題を踏まえ、「公式キャラクターをつくろう」という話になり、従業員からデザインを募集しました。
2024年8月には、国内外の従業員から392点のデザインが集まりました。一次審査で32点に絞り、二次審査では人気投票で10点に選定しました。最終的には、ブランドイメージとの親和性や親しみやすさなどを基準に、「だいぞう」のデザインを選びました。
集まったキャラクター案を見ると、ダイソーにちなんで「象」を模したものが多くありました。このほか、犬、猫、恐竜、店舗の買い物かごをモチーフにしたデザインも多かったですね。
最終的に「象」をモチーフにしたデザインを採用しましたが、企業キャラで象を使っているところはいくつかありまして。例えば、ドムドムハンバーガーの「どむぞうくん」、佐藤製薬の「サトちゃん、サトコちゃん」など。先輩の象に負けないように、「だいぞう」も認知を上げていかなければいけません。
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●社内で「ナニナニだぞう」
――東京オフィスの入口に「だいぞう」のフィギュアを置いていますが、店舗はどうでしょうか?
岩橋: 現在、「だいぞう」を設置しているのは東京・アルカキット錦糸町店(以下、錦糸町店)とタイのOne Bangkok店のみですね。今後は国内の基幹店を中心に、約10店舗で展開する予定です。
タイでは、11月14日に新店舗がオープンしたタイミングでフィギュアを設置しました。象のキャラクターはタイでも好評で、一緒に写真を撮れるスペースを設けたところ、行列ができていました。デザインは国内のモノとは違って、現地仕様として民族衣装をまとっています。国内では統一デザインにしつつ、海外では、その国や地域に合わせたデザインにしていきたいと考えています。
――だいぞうの誕生に合わせて、グッズを販売しています。反響はいかがでしょうか?
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岩橋: 錦糸町店のほかに、東京の銀座や池袋などの大型店でもグッズを販売しています。ぬいぐるみ(770円)、キーホルダー(110〜550円)、ウエットシート(110円)を扱っていますが、現状はテスト販売なので売れ行きを見ながら、今後の展開を考えていきたいですね。ちなみに、ぬいぐるみはすぐに完売して、再販の準備に追われるほどでした。
SNSの反響を見ると「家の近所のダイソーで、『だいぞう』のぬいぐるみは完売だった」といったコメントがありました。一方で、従業員が購入しているケースもありまして。デザインを決める際に総選挙を行ったこともあってか、“身内愛”を強く感じている人が多いようです。
「だいぞう」の名前が決まったあと、社内では「ナニナニだぞう」と語尾に「ぞう」を付ける人が増えました。もちろん冗談半分ですが、普段は真面目に働いている人から、いきなり「ナニナニだぞう」と言われると、ちょっとびっくりしますよね(笑)。
●あの「だいぞう」の店に行こう
――「だいぞう」が登場してまだ数カ月ですが、現状の課題と今後の取り組みなどを教えてください。
岩橋: なにか仕掛けていきたいですね。「公式キャラをつくりました、以上です」といった一過性のものではないく、常に話題を提供し続けたいと考えています。SNSでは話題になりましたが、店頭に来られているお客さまの間でどこまで認知が広がっているのか。現状は「まだまだ」と受け止めているので、少しずつ広げていければなあと。
では、どうやって認知度を広げていけばいいのか。店内のデジタルサイネージで紹介したり、POPで案内したり、新たなグッズを販売したり。ダイソーの店舗だけでなく、機会があれば他社とのコラボも面白いかもしれません。「あの『だいぞう』の店に行こう」と話題になるくらい、愛されるキャラクターにしていきたいですね。
【記者のメモ】
ダイソーの公式キャラクター「だいぞう」は、まだ登場したばかりで設置店舗も限られる。SNSやグッズの反応からは少しずつ存在感が出てきており、これからどのように日常の中に馴染んでいくのか。歩みはまだ“子象”だが、これから少しずつ広がっていくかもしれない。
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