あどけない子猫期【今日のにゃんこタイム〜○○さん家の猫がかわいすぎる Vol.191】
「私が撫でると噛むのに、我が家に来る配達員さんのことは丸見えの位置で様子を伺い、撫でてくれそうな反応を察すると、小走りで近寄ります」
飼い主の猫目さん(@nekomeyome)は、自分に懐かない愛猫つくねちゃんとのユニークな日常を明かします。
出会いは、2017年10月のこと。愛猫を立て続けに看取った飼い主さんは、隣家から押し付けられる形で、つくねちゃんをお迎えすることになりました。
◆隣家から“強制的に押し付けられた子猫”を迎えて…
つくねちゃんは母猫やきょうだい猫と共に、隣家の倉庫に住み着いていたそう。愛猫を亡くしたばかりだった飼い主さんは次の猫を迎える予定はありませんでしたが、半ば強制的に押し付けられ、つくねちゃんを引き取ることになりました。
つくねちゃんは結膜炎と脱毛が見られましたが、幸い大きな病気はしていなかったそう。
「目がまだはっきりと見えていないからか、目の前にいるのが母猫から人間に変わったことも気にしていなさそうでした」
ただ、威嚇もせず、あまり鳴かない様子からは生気を感じられず、飼い主さんはお迎え当日、「明日には息をしていないかもしれない……」と思ったそうです。
「私自身も先代・先々代猫を亡くした喪失感と、授乳が必要な子猫育てデビューが同時に発生したストレスで体調不良になって……。胃と肌の丈夫さが長所だったのに、食欲不振と肌荒れに悩まされました」
◆つきっきりで育てた子猫が“自分にだけ懐かない猫”に成長!
子猫は、2〜3時間置きの授乳が必要。子猫育ては「かわいい」だけでは乗り越えられない時もあります。
しかし、飼い主さんは強いストレスと闘いながらも、付きっきりでつくねちゃんを育てました。
「つくねを育てる中で、命を預かることの怖さを学びました。以前は子猫が好きでしたが、今は目の前にすると、育てていた当時を思い出して動悸がします」
真摯に命と向き合う飼い主さんの愛あるケアを受けて、つくねちゃんはスクスク成長。あどけない姿から一変し、どことなく高貴な雰囲気が漂う美猫さんになりました。
ただ、怖がりな性格はそのまま。地震が起きた時や通院時、選挙カーの音を聞いた時など、驚いたり怖い思いをしたりすると、目が腫れ、被毛をむしります。
繊細でもあるつくねちゃんは、家族に対してもお触り一切お断りのスタイル。つきっきりで成長を支えてきた飼い主さんには、なぜか一番懐いていません。
「獣医師からは『10年もすれば性格が丸くなって、撫でたり抱っこしたりできるかも』と慰めの言葉をいただきました。今、8歳なのであと2年です(笑)」
◆「メンチの切り合い」のようなコール&レスポンスで絆を深める日々
デレよりツンのほうが多めな、つくねちゃん。しかし、飼い主さんが声をかけると、コール&レスポンスはしてくれるのだとか。
「目が合った時に、『ん?』と声をかけると、鼻を鳴らしながら『ん?』とエンドレスで返してくれます」
そのやりとりを家族は「メンチの切りあい」と表現しますが、飼い主さん「コーレス」(コール&レスポンス)と言い張り、つくねちゃんとのコミュニケーションを楽しんでいるのだとか。
「世代交代が早い地区の野良だったので、長生きは望めないと覚悟していましたが、今年8歳の誕生日を迎えることができました。迎えたタイミングは酷かったし、私にだけ懐かないし、楽しいよりしんどいことのほうが多い現状なので、良い思い出の数が上回るまで長生きしてほしいです」
そんな飼い主さんの猫愛は、つくねちゃんにきっと届いているはず。もしかしたら、つくねちゃんは「この人なら媚びなくても、ありのままの自分を受け入れてくれる」と、飼い主さんに絶大な信頼を寄せているからこそ、惜しみなくツンツン行動を見せるのかもしれません。
<取材・文/愛玩動物飼養管理士・古川諭香>
【古川諭香】
愛玩動物飼養管理士・キャットケアスペシャリスト。3匹の愛猫と生活中の猫バカライター。共著『バズにゃん』、Twitter:@yunc24291