Z世代の内定ブルーを悪化させる、“上司のNG行動”とは

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2025年12月03日 17:10  マイナビニュース

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「最近の若手社員が何を考えているのか、さっぱりわからない」――これは、長年上司世代が抱える共通の悩みかもしれません。しかし、社会環境が大きく変化する現代において、Z世代と呼ばれる新入社員の持つ価値観や行動は、これからのビジネスを加速させる大きな「強み」になり得ると考えます。



自身の業務に加え、新入社員の育成を担う管理職や先輩社員は、これまでの「当たり前」を押し付けるだけでは、彼らのポテンシャルを引き出すことはできません。新入社員が育った環境を理解し、その特性を活かしたコミュニケーションと育成方法を探っていくことが不可欠です。



本連載では、新入社員の特性を理解し、AIや音声解析といった最新技術も活用しながら、彼らが生き生きと活躍できる環境をどう創るか、そのヒントをお届けします。



「内定ブルー」という言葉をご存知でしょうか。これは、入社を控えた学生が、社会人生活への不安や自身の選択への迷いから感じる気分の落ち込みを指します。新卒大学生向けの就活情報サイト「就活の教科書」を運営する株式会社Synergy Careerが実施した、2024年卒業の大学生へのアンケート調査結果では、約65%の学生が内定ブルーを経験したことがあると回答しました。


Z世代が内定ブルーを感じる原因



Z世代が内定ブルーを感じる主な原因を、「内省的(自分自身)」なものか「外発的(環境・他者)」なものか、「現在(目の前のこと)」に対する不安か「未来(入社後)」に対する不安かに分類し、計4つの象限に整理しました。


懇親会や研修など、入社に向けて内定者と接点を設ける企業も多いでしょう。今回は内定ブルーを感じる原因の中でも、「新しい環境と人間関係への不安」や「自身の能力と変化への不安」を中心に、入社前から「心理的安全性」を高めるコミュニケーションを解説します。

「教える」から「任せる」へ - 研修をプロジェクト型に変える



タイパを重視するZ世代にとって、座学のような長時間の講義形式の研修は非効率だと感じ、抵抗感を持ちます。また、彼らの自己決定を重んじる特性を活かすには、内定者研修を単なる知識伝達ではなく、「課題解決プロジェクト」型に設計するのが有効です。



研修では、会社の実際の課題(例:「若手社員の早期離職を防ぐには」など)をテーマとして与えます。情報提供は必要最低限にとどめ、課題解決のプロセスやツールの選定は内定者自身に任せます。「教える」のではなく、「ミッションを与え、見守る」姿勢を徹底しましょう。この「自ら動く」経験こそが、入社後の自律的な行動の土台となります。

失敗を恐れるZ世代に響く「スモールチャレンジ」のススメ



Z世代は「完璧にやりたい」という想いが強い一方で、失敗を極度に恐れる傾向があるため、大きな課題を丸投げされると、かえって不安から行動が止まってしまいます。この不安を解消し、心理的安全性を高めるには、「失敗と認識させないスモールチャレンジ」を連続して与えることが鍵です。



研修の初期段階では「正解」ではなく「プロセス」を評価することを明確に伝えます。「試行錯誤の回数が少ないことが失敗である」といった共通認識を持ちましょう。



内定者の人数が多いと管理者は全員のプロセスを細かく見ることは難しいかもしれません。そんな時は研修のプレゼンやディスカッションを録音し、音声解析を行うことで発言比率や内容を可視化することができ、プロセス評価に納得感を持たせることができます。



また、いきなり最終報告を求めるのではなく、「来週は〇〇の課題について3つ仮説を立ててみる」といった、達成可能な目標を設定します。小さな成功体験を積み重ねることで、「自分はできる」という自信を育みます。

自律を阻む上司のNG行動 「過干渉」の線引き



入社前の内定者に、必要以上の指導や連絡を頻繁に行うことは、監視されている感覚を与え、自律的な成長を阻害します。内定者側の「連絡頻度が高い」「指導がトップダウンである」という不満は、内定ブルーを感じる要因となります。



内定者フォローの連絡は、一般的な情報共有であれば月に1回程度に抑え(※Thinkings株式会社調査「24卒就活生の選考に関する意識調査レポート」より)、研修期間中により集中的な対話を行うなど、メリハリをつけましょう。



また、対話においては、「コーチング的アプローチ」に徹し、「あなたはどうしたいですか?」「なぜそう考えますか?」と問いかけることで、内定者は「この会社は自分の時間と意思決定を尊重してくれる」と感じ、入社への期待値を高めることができるのです。



内定期間中のコミュニケーションで、彼らの自律性を尊重し、入社後のポテンシャルを最大限に引き出す準備を整えましょう。



中村 有輝士 なかむら ゆきのり BPOコールセンターに10年間勤務。オペレーター、スーパーバイザー、マネージャー、営業など一通りの業務を経験。その後、外資の証券会社で、日本にある営業部門とシンガポールにあるカスタマー部門をマネジメント。2020年7月よりRevCommに参画し、カスタマーサクセスのマネージャーを経て、コールセンター向けプロダクト「MiiTel Call Centerプロダクトマーケティングマネージャーを担当。福岡県在住。 この著者の記事一覧はこちら(中村 有輝士)

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