
フィギュアスケートのグランプリ(GP)ファイナルが4日、名古屋市内のIGアリーナで開幕する。
3日は同地で前日練習が行われ、女子で3年ぶり出場の渡辺倫果(三和建装/法大)は大技トリプルアクセル(3回転半)を複数回降りた。日本勢4人のうち上位2人に入れば、来年2月のミラノ・コルティナ五輪出場に近づく一戦。代表3枠を巡る熾烈(しれつ)な争いが続く中、遅咲きの23歳が当落線上から下克上を狙う。
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渡辺が淡々と大技を跳んだ。40分間の練習で、基礎点の高い高難度のトリプルアクセルを7本以上着氷。世界女王のアリサ・リュウ(米国)ら出場者6人が同じリンクで調整する中、ひときわ存在感を放った。
「練習からあれだけ跳んでいれば、本番でも大丈夫と思えるぐらいの練習を積めている」
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表情に充実感が漂った。
GPシリーズ上位6人で競う今大会は、ミラノ五輪代表争いのヤマ場となる一戦。日本勢上位2人に入れば、初の代表入りへ大きく近づく。
現状では昨季世界選手権銀の坂本花織と銅の千葉百音が有力候補に挙がり、10月のGPフランス大会優勝の中井亜美が追う構図。6番手でファイナルに進出した渡辺は、下克上を狙う立場となる。「このファイナルで自分の夢がどうなるのかは、十分に理解している」と重みも感じている。
這い上がるという状況は、競技人生とも重なる。
有望選手が集うジュニアGPシリーズの出場経験はなかったが、22年にシニアのGPで初出場優勝を飾り、23年に世界選手権初出場。今季もGPシリーズで2戦連続表彰台に立ち、五輪代表争いに食らいついた。
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同じくトリプルアクセルを跳ぶリンクメートの17歳中井の存在も「良い相棒を持った。相棒が頑張っているので“姉”として頑張らないと」と力に変えてきた。
1歩ずつ切り開いてきた人生。この試合も先は見ず、足元を見つめる。
「次のことは考えず、自分の最大限をするために、今に集中するしかない」
武器の3回転半は、ショートプログラム(SP)とフリーで計3本を投入予定。夢の五輪へ、攻めの姿勢を貫く。【藤塚大輔】
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