
今回の配信では、「趣味でやっているフルマラソンの大会が近づくと、緊張してうまく走れない……」という相談に、茂木が脳科学と自身の経験からアドバイスしました。
パーソナリティの茂木健一郎
<リスナーからの質問>
フルマラソンが趣味の会社員です。私は大会が近づくと緊張が強くなり、うまく走れません。具体的には前夜は眠りが浅く、当日の整列で心拍数が一気に上がります。本番だと身体感覚の見積もりがズレてしまう感じです。脳科学的に身体をコントロールする方法などありましたら教えてください。楽しく自己ベストに近づけたらと思っています。
<茂木の回答>
素晴らしいじゃないですか。私もフルマラソンを走りますが、マイペースで、自己ベストなどをあまり考えずに走っているほうなので、逆に相談者さんのようにアスリートモードで走ることはありません。
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なので、相談者さんがそこまで自分を追い込めるということは、私は逆にすごいなと心から尊敬申し上げます。
為末さんをはじめ、アスリートモードのほうが、では、どうリラックスしているのか。これは、いろいろな、いわゆるメンタルトレーニングとか方法があるわけなのですが、1つ、皆さんがやっていることは「イメージすること」なんですよね。相談者さんはやっていらっしゃるでしょうか? 当日のレースの様子をスタートからフィニッシュまで、いろいろイメージしておくのです。前夜とかに眠りが浅くなるというのは、やはりいろいろ考えすぎてしまうのだと思うんですよね、「明日どうしよう」と。
ですから、アスリートの方に伺うと、そういったイメージトレーニングを、もうずっと前からやっているんだそうです。そうすると、前夜になっても、ある意味ではずっとそのイメージをされているわけだから、特別ではなくなるわけじゃないですか。「前の日だから特別」というよりは、「ずっとレースでどうしよう」って考えてきているわけだから、眠れるんだと言っていましたね。
すごいですよね。私が一番聞いたすごい話というのは、体操の具志堅幸司選手がロサンゼルスオリンピックで金メダルを取ったときのことです。個人総合の金メダルの演技の様子を、全部あらかじめイメージしていて、本番は「なんかその、イメージしていたビデオを再生するみたいな感じで演技した」と仰っていましたね。
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あと、やはりですね、「習慣化」ってすごく大事なんですよね。どうして緊張してしまうのかというと、自分のその新しいことというか、チャレンジするようなことだと思っちゃうと緊張しちゃうのです。
「これはもう習慣だ。だからフルマラソンを走るのは当たり前だよね」「走っている状態って当たり前だよね」と思えることが大事なのですけど、そのように自分に思わせるためには呼吸法が大事ですよね。
どうしても我々、戦闘モードのときというのは普段と呼吸が変わってしまいます。逆に言うと、普段と同じ呼吸をしていると、身体だとか脳が、「これ普段と同じじゃん」と思うので、リラックスすることができるのかなと思います。
いずれにせよですね、私から見ると、緊張できるというのはもうアスリートモードで、それは素晴らしいことだと思うので、ぜひその緊張は1つの能力の現れだと思ってですね、今申し上げた、1つはあらかじめレースの様子をイメージしておく。もう1つは、その呼吸法によって、これは当たり前のことなんだと思わせる。
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音声版「茂木健一郎のポジティブ脳教室」
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<番組情報>
番組名:茂木健一郎のポジティブ脳教室
配信日時:毎週土曜 22:30配信(予定)
パーソナリティ:茂木健一郎
番組Webサイト:https://www.tfm.co.jp/dreamheart/
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