
日本人の女子高生がK-POPアイドルを目指す姿を鮮明に描いた物語『ガールクラッシュ』(タヤマ碧/新潮社)のアニメ化が先日発表され、大きな話題を呼んでいる。
2021年には韓国の電子書籍サイト「RIDIBOOKS」の「2021RIDIBOOKS COMIC AWARD」で「今年の新作賞」を受賞するなど海外でも高く評価されている本作。本記事ではアニメ化までの予習も兼ねて、そ本作の魅力に触れていきたい。
■なんでもスマートにこなす女子高生がぶつかった高い壁
本作の主人公、百瀬天花(ももせてんか)は歌もダンスも抜群で、容姿端麗な高校生。何をやってもできるそつなく器用にこなせる女の子だ。どこか物足りない日々を送る天花は、同じ高校に通うK-POPに夢中な少女、佐藤恵梨杏(さとうえりあん)と出会う。
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見た目は地味で控えめな恵梨杏だが、K-POPアイドルになりたいという強い想いとまっすぐな努力を重ね続け、やがて天花の1歩先を行くことになる。天花は自分の方が優れていると内心軽んじていた恵梨杏が、気づけば自分の前を走っていることへの悔しさや怒り、実力不足である自身への恥ずかしさといった様々な感情を抱えながらも全力で揺るがない自分になろうとする。
人が羨むような容姿や才能を持つ天花が、自分の足りなさを自覚しながら意志と努力で立ち向かっていく姿が熱く、さながらスポーツ漫画のテイストも感じさせてくれる。
圧倒的なダンスセンスを持つジウ、天性の歌の才能に溢れたミンチェなど、魅力的なキャラクターも多数登場し、それぞれの個性がぶつかり合いながら成長していく姿がより作品の魅力を引き上げてくれていることは疑いようがない。K-POPアイドルという狭き門を突破するべく果敢に挑戦する天花の姿は眩しく、何より美しいのだ。
■日本と韓国のアイドル文化の違いから見る『ガールクラッシュ』の魅力
作品のタイトルにもなっている「ガールクラッシュ」とは、女性が憧れを抱くような、魅力的な女性を指す言葉だ。カッコ良さ、力強さ、完璧なダンスなどその魅力は、どちらかといえば可愛らしさや発展途上の状態から育っていく姿をファンが応援する楽しむ側面が強い日本のアイドル像とは大きく異なるポイントだ。
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無論、どちらが良い悪いということではないがK-POPアイドルにはやはり同性が憧れる女性像が詰まっていると言えるだろう。
天花の先を行く先輩アイドルや、アイドル養成所のライバル達とのオーディションで運命をかけたダンスバトルなど、見所は盛り沢山だ。指先まで洗練された動きの表現や、スタイリッシュな楽曲からキュートさを前面に出したものまで様々な表情を見せてくれる点にも注目してほしい。
発売当初は、繊細な人物描写とダイナミックなダンスのシーンなどを強く推す声も勿論あったが「知る人ぞ知る傑作」といったポジションだったように感じる。それから、まるでアイドルが少しずつ認知を獲得して人気が出てきたかのように、じわじわと火がつき、世界8ヶ国で翻訳され国内外から評価が高まり、累計50万部を突破したタイミングでいよいよ紙版の1-2巻が2025年4月に発売されたという流れも中々にエモーショナルだ。
紙コミックス第5巻と電子コミックス第9巻が2025年12月9日(火)に刊行されることも発表されている。
天花が追い求める「絶対の自分」。その完成系が見られる日が楽しみで仕方がない。勿論、それまでの成長過程も見逃せない。アニメ化で色彩と動きが加わることでいよいよ世間に見つかることになるであろう『ガールクラッシュ』。彼女達が最高点を常に更新し続けていく姿をぜひ目に焼き付けてほしい。
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(文=もり氏)
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