画像提供:マイナビニュース道でつまずいたり、動作が遅くなったと感じることはありませんか? 実はそれ、筋力の低下だけでなく「脳の老化」が原因です。この記事では、脳の老化について研究してきた遠藤英俊氏が人生100年時代を元気に楽しむための方法を解説した『こうして脳は老いていく』(著者: 遠藤英俊/アスコム)から一部を抜粋して紹介します。
今回のテーマは『毎日の睡眠は目標7時間』。
○毎日の睡眠は目標7時間
あなたは毎日何時間くらい睡眠をとると脳にいいと思いますか?
結論から申し上げると、7時間程度。
脳の健康を保ち、認知症のリスクを下げるには、短すぎても長すぎてもよくないといわれています。
脳は、私たちが寝ている間も忙しく働いています。
寝ているときの主な作業は、記憶の整理と定着、脳にたまった老廃物(ゴミ)の掃除、神経細胞やシナプスの修復、そして前頭前野と扁桃体のバランスを整えて感情をコントロールすることです。
睡眠が短すぎると、こうした作業が十分に行えないということです。
逆に長すぎると昼間の活動時間が短くなるため、脳への刺激が少なくなります。また、長時間睡眠は生活リズムの乱れにつながり、睡眠の質を下げることもあります。
科学的な研究でも、睡眠時間と脳の健康の関係がはっきり示されています。
例えば、フランスの研究では、50〜60代で睡眠時間が6時間未満の人は、7時間寝る人に比べて認知症のリスクが約30%高まることがわかりました。
一方、中国の研究では、9時間以上寝る高齢者は、7〜8時間寝る人に比べて認知症リスクが1.5倍になるという結果も出ています。
日本でも、福岡県の久山町で行われた研究で、5時間未満の睡眠はアルツハイマー病のリスクを約2倍にすることがわかっています。
年を取ると、睡眠が浅くなりやすく、途中で目が覚めたり、早朝に起きたりしやすくなります。これも老化現象のひとつです。誰にでも起きることなので、過度に悩まなくてもいいのですが、予備脳を強化するためにはできるだけ7時間の睡眠をとるように心がけましょう。
どうしても途中で起きるようなら、合計でいいので7時間を目指しましょう。そのためには、若い頃よりも意識して寝る準備を整える必要があります。
ポイントは、次の4つ。
○(1)規則正しい生活を心がける
毎日同じ時間に起きて、同じ時間に寝るようにすること。そして、朝起きたら日光を浴びることです。朝の光には、夜の眠気を自然に引き出す作用があります。
○(2)適度な運動を日課にする
散歩や軽い体操でいいので、日中に体を動かすようにしましょう。適度に疲労感があると、「体を休めたい」と感じやすくなるため、寝つきがよくなります。
○(3)夕食は就寝の2〜3時間前にすませる
食べたものを消化するのに2〜3時間くらいかかります。寝る直前に食べると、体が「消化モード」のため、なかなか寝つけなくなります。覚醒作用があるカフェインが含まれる飲み物も、寝る直前は控えるようにしましょう。
○(4)寝る直前までスマホやテレビを見ない
スマホやテレビの画面から出るブルーライトは、眠気を誘うホルモン(メラトニン)の分泌を妨げます。
「寝なきゃいけない」と思うと、逆に眠れなくなるものです。眠れなくても焦らないでください。30分以上眠れないときは、一度寝床から出て読書や深呼吸などでリラックスすると、眠気が出てきます。
○『こうして脳は老いていく』(著者: 遠藤英俊/アスコム)
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