9年ぶりに鹿島にJ1タイトルをもたらした鬼木達監督[写真]=金田慎平 明治安田J1リーグの最終節が6日に行われ、鹿島アントラーズは横浜F・マリノスをホームに迎えた中2ー1で勝利。これにより、9年ぶりとなる9度目のJ1優勝を果たすこととなった。
常勝軍団と呼ばれ、日本で最もタイトルを獲得している鹿島だが、実に9シーズンもリーグタイトルに見放されていた。そこにやって来たのが、現役時代に鹿島でプレーした鬼木達監督。“シルバーコレクター”と呼ばれていた川崎フロンターレで4度のJ1優勝を含む10個のタイトルを獲得すると、今シーズンから古巣に帰還した。
誰よりもタイトルへの想いを強く持って挑んだ鬼木監督。チームはシーズン中に2度の3連敗を喫するなど、苦戦する時期もあったが、終盤は負けなしを続けて見事に優勝。ホームであるメルカリスタジアムには、今シーズン最多の3万7079人の観客が集まっていた。
鬼木監督は試合後の記者会見で「スタジアムの雰囲気が最初から勝たせてくれるようなもので、感謝しています。選手たちが今までと打って変わって、自信を持ってプレーしてくれたこと。このメルスタの雰囲気がそうさせてくれたと思っています」と、ホームの後押しがあってこそと振り返り、「選手は緊張もあったと思いますし、簡単なゲームだったとは思いません。逞しく戦ってくれましたし、頼もしかったゲームでした。選手はよくやってくれたと思います」と選手を労うことに。「選手、サポーター、コーチングスタッフに本当に支えられてきたので、感謝しています。ありがとうございましたと伝えたいです」と、感謝の言葉を残した。
古巣に戻り、大きな期待がかけられた中でいきなりのJ1制覇。「なんだかんだ、ほっとしている気持ちが強いです」と語り、「今日ここでタイトルを取っていなかったらどんな雰囲気になっていたか、想像したら怖いです」と冗談も交えながら、「熱量がある人と仕事して、熱量があるサポーターと戦えたことを誇りに思います。感無量、本当に言うことない気持ちでいます」と、やり切ったと語った。
ファン・サポーターが望むのは鹿島の黄金時代再来。「そうなれるかは分かりませんが、目指そうと思います」と力強く語った鬼木監督。「今回勝ったからとかではなく、選手の伸び代を感じましたし、サッカーに対する姿勢も全員が真摯に今の力を受け止めて成長しようという姿があるので、すごく頼もしかったです。そういう選手たち、スタッフたち、サポーターたちと今日みたいな喜びを分かち合いたいと思ったので、目指します」と、この先の更なる成功を目指すと誓った。
今回の優勝により、鬼木監督は史上初となる2クラブでのJ1制覇を達成。「それも先ほどスタッフから聞かされました」と全く知らなかったとし、「複数クラブとか、そういった思いはありません。ただ、自分がこの鹿島に選手としてプロとしてお世話になって、選手としてなかなか鹿島アントラーズに貢献することはできなかったので、やっとというか、このクラブの一員になれた。それぐらいの思いの方があるかなと思います」と、チームへの恩返しができたと振り返り、「覚悟を持ってこのクラブを選んで来れたこと、自分の決断が正しかったと思えますし、本当に嬉しいです」と、古巣の指揮を執るという決断が正しかったとした。
取材・文:菅野剛史(サッカーキング編集部)
【動画】鹿島が復活!? 9年ぶりのJ1優勝達成!