【フィギュア】悔しい銀も…鍵山優真「得られた物はすごく大きい」今季初の合計300点超え

0

2025年12月06日 22:28  日刊スポーツ

  • チェックする
  • つぶやく
  • 日記を書く

日刊スポーツ

男子フリーの演技を終え、小さくガッツポーズする鍵山(撮影・前田充)

<フィギュアスケート:グランプリ(GP)ファイナル>◇6日◇愛知・IGアリーナ◇男子フリー



3度目出場の鍵山優真(22=オリエンタルバイオ/中京大)は、2大会連続の銀メダルだった。フリー193・64点の合計302・41点。来年2月のミラノ・コルティナ五輪金メダル本命で優勝したイリア・マリニン(米国)に29・88点差をつけられ、悲願の初優勝を逃した。それでも、精神面の成長に大きな手応え。五輪代表最終選考を兼ねる全日本選手権(19〜21日、東京・代々木第1体育館)へエースが弾みをつけた。


◇   ◇   ◇


鍵山は、悔しい銀メダルだった。シニア転向後、直接対決7戦全てで後塵(こうじん)を拝してきた世界王者のマリニンから、8戦目だったこの日も逃げ切ることはできなかった。自己ベストを更新したショートプログラム(SP)でつくった14・72点の貯金では“4回転の神”を上回れず。24年4大陸選手権以来2度目となる主要国際大会の優勝には届かなかった。それでも細かなジャンプミスがあった中で、今季初の合計300点超え。「悔しいけど、得られた物はすごく大きい」と納得の顔。「自信の持ち方や演技の向かい方が見つかった」と拠点の名古屋で視界が開けた。


真のエースになる。アクセルを含む全種類の4回転ジャンプを跳び、国際大会で無双する男が君臨するフィギュア界で、鍵山は今季「目標は五輪の金メダル」と唱え続けてきた。3年連続のファイナルは、ミラノ五輪前哨戦。思いがけないミスで不完全燃焼だったGPシリーズ2戦から不退転の覚悟で迎え「自分が一番輝くんだ」。己を信じ抜き、絶対王者を焦らせた。


5年前。「将来、世界のトップになるために日本でトップにならないといけない」と話した本来の強気の姿勢は、北京五輪後に影を潜めた。羽生と宇野の壁は高く、2人のプロ転向後も「彼らみたいにはなれない」「スター性はない」とエースと呼ばれる重圧を嘆いた。変化は昨年末の7度目の全日本選手権。「日本一」の勲章を初めて手にし、自覚が芽生えた。「先輩方もそう言われていたし、逃げるわけにはいかない」。勝つ−。「やっぱり僕は負けず嫌いだから」。貪欲な姿勢がよみがえった。


思考が変わった。それでも、やるべきことは変わらない。「立場ともしっかり向き合いながら、それでも目標を達成するために一生懸命頑張るだけ」と地に足をつけていた。初優勝は届かなかったが、日本のエースの意地を示した。「称号は周りが決めること」。冬本番へ、自身の道を突き進んでいく。【勝部晃多】

    ランキングスポーツ

    前日のランキングへ

    ニュース設定