
【写真】江口のりこが声を担当した、ビーバーのニブルズ
◆お節介を焼いてしまうところは「少しだけ私に似てるかも」
動物たちが人間のように暮らし、誰もが何にでもなれる楽園「ズートピア」を舞台に、ウサギの警察官ジュディとキツネの相棒ニックのバディが、ズートピア最大の“謎”に挑む本作。
劇中で江口が演じているのは、ズートピアの陰謀論について語るポッドキャスト番組を配信するビーバーのニブルズ。自身が演じたキャラクターについて彼女は「行動力とエネルギーに満ちあふれていて、突っ走るような感じのキャラクターなんですけど、実は人懐っこくて、ジュディとニックに寄り添って助言なんかしたりする」と説明。続けて「ニブルズはたまにお節介を焼いてしまうようなところもありまして、そういうところが少しだけ私に似てるかもしれないですね。“こうした方がいいよっ”て、身近な人につい言っちゃうみたいなところが」と分析する。
オーディションを経て今回の役柄に抜擢された江口は、出演する舞台の稽古初日に出演決定の知らせを聞いたという。「私自身、オーディションを受けたことをすっかり忘れていて、休憩中にマネージャーさんといろいろ話をしている時に“あ、そうそう”っていう感じで言われて。びっくりしましたけど、すごく嬉しかったですね」と笑顔で語る。
USオリジナル版では、コメディアンのフォーチュン・フィームスターがニブルズを演じている。江口はニブルズを演じる彼女の声について「ビーバーってどこかファニーなイメージがあるじゃないですか。おとぼけっていう感じの。でもフォーチュンさんの声って、とっても綺麗なんですよ。知的で、どこまでも伸びていくような声」と絶賛。そして「真似できることは真似しようと。フォーチュンさんへのリスペクトが、収録を頑張ろうという思いにつながりましたね」と明かす。
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彼女にとって初めての声優業は手探りでのスタートだったという。「本当に初めてのことで戦略すら立てられない。何を準備していけばいいのか分からない状態で現場に入って、私自身すごく必死だった」と江口。さらに「監督が何度もチャレンジさせてくれる方だったので、だからそれに応えようと、本当に一生懸命、時にはヤケクソになりながらも演じました」と収録を振り返る。
先頭を歩くニブルズが後ろのジュディとニックに話しかけるというシーンでは、新たな“発見”もあったそう。「私は目の前の絵に向かって声を出していたんですけど、監督からは“後ろにいる人に説明するようにセリフを話してください”ってアドバイスされたんです。そう言われた時に“そうか、芝居だと思ってやればいいんだ”と気付いたんです。いつもと違うことをしてるっていう意識があって、自分が芝居するということを忘れていたんですよね」と収録中の印象的なエピソードも披露してくれた。
このように初めて尽くしの収録は発見の連続だったようで「収録を通じて体験したこと、感じたことの一つひとつが自分にとってすごく新鮮で。“アニメーションはこうやって作られているのか”とか“こういう風に話したらこう聞こえるのか…じゃあ次はこんな風にやってみよう”という感じで、次から次へと分かることが増えていく。そこが面白かったですし、本当に監督をはじめスタッフの皆さんに感謝しています」と喜びをにじませる。
◆ワールドプレミアで観客の熱気を体感、心境にも変化
江口が日本版声優としてニブルズを演じることは、11月中旬にアメリカ・ロサンゼルスで開催された本作のワールドプレミアの中で発表された。日本版声優の1人としてワールドプレミアとレッドカーペットに参加した彼女は、そこでの経験について「今後の俳優業にすごく生かされると思います」と断言する。「劇場でお客様と一緒に『ズートピア2』を見たんですけど、みんなが続編を待ち望んでいたという熱気であふれていて。映画が始まってからも、めちゃくちゃ笑うし、手を叩いて喜ぶし、映画の中のキャラクターと一緒に肩を落としたり、息を呑んだりもしていました」と会場の盛り上がりを思い返す。
観客の反応をダイレクトに体感した江口には心境の変化があったよう。「これまで、調子に乗らないように自分を律するために、お客様をあまり信用してないところがあったんです。お客様を信用しすぎるのが怖かったというか。たとえば舞台に出演していて、とあるシーンで笑いが起こったとします。“ここ面白いのか”と思って、次の公演で同じように演じてみても、全然笑いが起きなかったり…。お客様の反応に委ねすぎず、自分を信じて自分の中で芝居を作っていく、それが一番なんだと考えていました」と告白する。
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また江口はレッドカーペットにも参加。ここでも貴重な経験をしたそう。「オリジナル版のキャストの方々やスタッフの皆さんが“おめでとう”って言い合っているんですよ。“今日プレミアだね。おめでとう。おめでとう”って。『ズートピア2』はたくさんの人が時間と愛情をかけて作ったアニメーション作品なんだなということがそこから伝わってきて、すごく感動しましたね」と笑顔を見せた。
◆深いメッセージに共鳴しつつ初めての声優に喜び
試行錯誤を繰り返した収録を経てついに完成した本作。江口は自身の演技をどのように評価しているのだろう。「初めての経験でしたし、見る前は不安もありましたね。映画の中で自分の声が物語の一部になっていたのが嬉しかったです。“もう少し工夫できたかな”と感じる部分はある」と話しつつも「自分の声がどうのこうのっていうのを忘れちゃうくらい物語にのめり込んでいました」と作品を評する。
そして「ホリデーシーズンにぴったりの映画だなと思いました。音楽も素晴らしくて、クリスマスを屋内で過ごす温かさを思い出させてくれる。雪景色も出てきたりしますし、本当に家族や恋人、友達と観てもらえたらいいなと思います」と映画の魅力をアピール。
「物語に登場する動物たちは、いろんな違いがあるんだけど、その違いを無理に埋めようとしない。違うままで共存していくというのは、本当に素敵な世界だなと思います」と本作のテーマについても思いを明かした。
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映画『ズートピア2』は公開中。
