電気のプロが教える「災害時の備え」…太陽光+蓄電池を導入しても電気の正しい使い方を知らないと命取りに

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2025年12月08日 12:30  日刊SPA!

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 台風や地震などの災害に備えて、日頃から考えておきたいのが停電への対策。電気のプロはどのような対策を講じているのか。太陽光・蓄電池の設置を手掛ける石川企画合同会社の石川聡代表に聞いた。
◆長期間の停電に備えるなら…

「災害規模によりますが、台風や豪雨では1〜2日間、大規模地震では1週間以上の停電もありえます。特に郊外や山間部は復旧が遅れるため、最低3日間は電気が使えない前提で備えることが現実的です」

 長期間の停電に備えて、万全を期すなら太陽光と蓄電池を導入するのが理想だという。

「太陽光パネルを設置できる屋根の広さや蓄電池の容量によって費用は変動しますが、太陽光発電システムが60万〜150万円、家庭用蓄電池が130万〜200万円、合計で190万〜350万円前後になるのが一般的な相場です。

 太陽光と蓄電池の導入に合わせて、“電気+ガス”から“オール電化”に切り換える場合の工事代などは、プラス80万円が目安となります」

 また、太陽光や蓄電池も白物家電のようにメーカーによって特徴や価格などが異なるとも。

「たとえば、パナソニックや京セラといった太陽光と蓄電池で有名なメーカーは少し割高ですが、そのぶん性能や保証がしっかりしている。メーカーごとに一長一短があるので、施工会社に聞きながら自宅に合うものを選ぶと安心です」

◆EV(電気自動車)も災害の備えになる

 車の買い替えを検討しているなら、EV(電気自動車)を選ぶのも有効だ。

「“走る蓄電池”とも呼ばれるEVの活用が注目されています。充電設備の種類次第では車に蓄えた電気を家庭に供給できるので、予備の蓄電池として期待できる。自治体によっては防災目的で蓄電池導入に補助金を出すケースも増えていて、災害対策と日常生活の利便性を兼ね備えた設備として検討する価値があります」

 とはいえ、いずれも導入に数百万円の費用がかかるのはネック。ほかに実践可能な備えは?

「太陽光+蓄電池が理想ですが、費用を抑えたいならポータブル電源を常備し、モバイルバッテリーを複数用意しておくといいですよ。ポータブル電源やモバイルバッテリーはいろいろなものがありますが、汎用性の高いものがいざというときに使いやすいと思います。

 ほかにLEDランタンや乾電池式ライト、ガスコンロも備蓄しておくと役立ちます。特にオール電化の場合は、停電すると料理もできなくなりますから。あとは保冷剤を冷凍庫に入れておくと、停電時に冷蔵庫の保冷に利用できます」

◆災害時の正しい電気の使い方

 太陽光や蓄電池を導入したからといって過信は禁物。「正しく使わなければ、いざというときに蓄電池の残量がゼロになってしまう可能性もある」と石川氏は指摘し、こう続けた。

「災害時は優先順位を考えることと、いつも以上に節電意識を持つことが重要です。冷蔵庫・通信・照明を最優先に確保し、消費電力の多いエアコンや電子レンジといった大電力家電の仕様は控えるようにしてください。

 また、日中は発電してある程度はカバーできますが、夜間は増やすことができません。蓄電池残量を管理し、夜間にゼロにならないよう調整することが大切です」

【黒田知道】
 

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