
帝国データバンクによると、11月の倒産件数は796件で6カ月ぶりに前年を下回った。2025年1〜11月の累計は9380件で、前年同期(9053件)を上回った。このペースで推移すると、12年ぶりに倒産件数が年間1万件を超える見込みとなる。
11月に倒産した企業の業種別で最も多かったのは「小売業」(175件)で、全体の22.0%を占めた。業種別でトップとなるのは約4年ぶりだ。
一方「サービス業」(172件)は3カ月ぶりに前年を下回り、特に個人教授所や土木建築サービスなど「専門サービス」(30件)の倒産減少が目立った。一方「飲食料品卸売」(29件)や「食料品・飼料・飲料製造」(20件)など飲食料品関連では前年より増加した。
倒産の原因としては「販売不振」(658件)が3カ月ぶりに前年より減少した。「業界不振」(2件)は2カ月連続で前年を下回った。
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「販売不振」「輸出不振」「業界不振」などを集計した「不況型倒産」の件数は11月単月で666件に上り、全体の83.7%に達した。1〜11月までの不況型倒産の累計は7792件で、前年同期(7493件)から増加した。
11月に起きた倒産を態様別で調査した。「清算型」の倒産は771件で6カ月ぶりに前年を下回った。そのうち「破産」が731件、「特別清算」は40件だった。「再生型」の倒産では「民事再生法」が25件発生した。
11月に倒産した企業が抱えていた負債額については「5000万円未満」が506件で、前年から唯一増加した。一方、「5000万円以上」(290件)は前年(343件)から大幅に減少した。資本金別では「個人+1000万円未満」の倒産が584件だった。
●「近畿」は前年から15.1%減少、9地域中5地域で前年を下回る
11月の倒産を地域別で見ると、9地域中5地域で前年より減少した。「近畿」は前年と比べて15.1%減り、特に「大阪」(81件)の減少が目立った。一方、「関東」(285件)は6カ月連続で前年を上回り、11月としては過去10年で最多だった。
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11月に倒産した企業の業歴別で最多となったのは「30年以上」の275件で、このうち100年以上の「老舗企業」の倒産は16件発生した。業歴10年未満の「新興企業」は225件で、2カ月連続で前年を下回った。
業種別では「サービス業」(71件)が最も多く、以降「小売業」(54件)、「建設業」(42件)が続いた。
●今後の見通しは?
11月の全国企業倒産は796件発生し、負債総額は788億8300万円となった。
帝国データバンクによると、トレンドとなっている「人手不足倒産」の1〜11月の累計は390件で、通年で初の400件超えが濃厚となっているという。また、「物価高倒産」の1〜11月の累計は879件で、過去最多の2024年(通年で933件)を上回る見通しだ。
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同社は「引き続き11月も建設関連事業者や飲食店を中心とした負債5000万円未満の小規模倒産が目立った」と分析。倒産件数は今後も緩やかな増加傾向が続き、2025年通年での倒産件数は1万300件前後になるとした。
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