
上方落語の活性化をねらう「第20回繁昌亭大賞」が9日、大阪市の天満天神繁昌亭で発表され、大賞に笑福亭鉄瓶(47)、桂佐ん吉(41)が輝いた。2人同時受賞は初。奨励賞は該当なしとなった。
繁昌亭のスターをつくることを目的にした大賞は、入門25年以下の中堅、若手106人を対象に審査が行われ、協会員は審査に関与しない。選考委員からは繁昌亭での独演会の開催、集客、落語に対する熱量、中堅として上方落語界を引っ張っていく熱意、東西の落語のネタの交流などを評価したと説明があった。
鉄瓶と佐ん吉は01年入門の同期。上方落語のおもしろさを伝えるために、全国各地で2人会を実施してきた。鉄瓶は「しんどい思いを2人で折半して、ちょっとでも大阪の落語に気付いてもらいたいとやってきたら、まさか繁昌亭大賞まで折半するとは」とニヤリ。
昨年の大賞が該当者なしだったことに「僕らの世代は『該当者なし』という刃がものすごい刺さった。背中、お尻、全部たたかれた気がして、1年頑張れた」と振り返った。
師匠の鶴瓶には前日に電話した。「早めに言うと、絶対にしゃべるので」
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鉄瓶は師匠の“鶴瓶噺(ばなし)”にあこがれ、弟子入り。当初、落語はするつもりがなかっただけに、鶴瓶の第一声は「意味が分からん。修行中、『落語やらへん』言うてたやんけ」
それでも、落語の面白さに気づき、16年に「第71回文化庁芸術祭 大衆芸能部門新人賞」、22年には「繁昌亭大賞奨励賞」と頭角を現してきた。そして、今回の大賞受賞で、鶴瓶からは「米朝事務所行ったら?」とジョークも飛ばされた。鉄瓶は「その中にテレてる瞬間のものの言い方も見え隠れしたので、喜んでくれてはるんだなと。僕なりに恩返しのコップに水を貯めれたかな。これが満杯になるように」と感謝の思いを語った。
一方、佐ん吉は亡き師匠桂吉朝さんの着物を着て登場。「師匠だったら、こう言うやろなと思います。『佐ん吉が大賞か。世も末やな』」。
佐ん吉も昨年の「該当者なし」を受け、「今年1年、何が足らんのか考えて独演会をしたり、積極的な活動をしてきたつもり。そこが評価されたのはありがたい」。鉄瓶とともに「これからもライバル関係でありながらも仲良くしながら、繁昌亭大賞をいただいたということで、上方落語の歯車の1つとなって動いて行けたら」と意気込んだ。
鉄瓶から「持ってるネタがなくて、彼に追いつくように精いっぱいやってきた。その時にめっちゃアドバイスをくれた。僕だったらせーへんなと思う。あと、声がうらやましい。ええ声してる。聞き取りやすい。落語もセリフのない行間がすごい上手。無音も楽しめる落語をされている」と絶賛されると、「気持ちええ」と喜んでいた。
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また、入門15年以下の若手落語家に与えられる「新人賞」は60人の中から笑福亭笑利(42)が受賞した。
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